2017 Fiscal Year Research-status Report
受動型動吸振器による船内振動・騒音低減装置の開発および合理的な設計法の構築
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17K14892
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
谷口 智之 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (20782460)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 上部構造物の簡易振動解析 / 動吸振器 / 複素モード解析 / 感度解析 / 最適設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
船舶の上部構造物における振動対策は,船員の居住環境や精密機器への損傷,部材の金属疲労等を考慮する際には重要な課題であり,船舶内居住区における効果的な騒音・振動対策が求められている.しかしながら,船舶での振動・騒音問題を設計段階において精度よく予測することは難しいことが多く,建造後に効果的な対策を実施するには多大なコストと労力を要する.そこで,本研究では事後対策が容易で安価な制振装置の一つとして動吸振器に着目し,効果的な振動対策法としての動吸振器の検証と合理的な設計法の開発を目的としている.当該年度の主な研究実施計画としては,船内居住区に対する振動解析モデルの構築および複素モード解析に基づく簡易振動解析手法の構築,実船計測に基づく検証,動吸振器の最適設計法の開発としている. 本年度の実施成果は,まず1つ目に上部構造物に対する簡易振動解析モデルの構築である.船舶における上部構造物は複雑な形状をしており,FEM等による詳細なモデルにおける固有値解析が主流であるが,設計内容が頻繁に更新される上流設計においては簡易的に予測できることが望ましい.そこで著者らは上部構造物の前後方向の振動解析モデルとして,集中質量・慣性および梁からなる簡易モデルを構築した.実船における振動計測結果と比較することで実用的なレベルの精度を確認した.これにより上流設計において簡易的に振動レベルを予測し,対策を講じることが可能と思われる, 次に,2つ目の実施成果として,複素モード解析を導入した最適設計法の構築である.上記1つ目のモデルに対して複素モード解析を導入することにより,構造体としての減衰や動吸振器の減衰を正確にモード別に考慮することが可能となる.また,系パラメータに対する振動レベルの感度を厳密に計算し,感度に基づく最適設計法を構築した.これにより低振動な構造の設計が可能になると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究実施計画は,船内居住区に対する振動解析モデルの構築および複素モード解析に基づく簡易振動解析手法の構築,実船計測に基づく検証,動吸振器の最適設計法の開発であるが,研究計画に該当する上部構造物の簡易振動解析手法の開発と実測結果による検証,および複素モード解析を導入した最適設計法の構築を実施しているため,おおむね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度が本研究の最終年度にあたり,研究実施計画では,動吸振器の最適設計法の開発,実験的検証を予定している.前年度までおおむね順調に進捗しているため,大幅な変更はない.
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Causes of Carryover |
次年度に向けた実証実験に向けて,当該年度に実験装置の製作費を計上していたが,年度内に計画がまとまらなかったため,次年度に繰り越し,実験装置の製作を実施する.
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Research Products
(2 results)