2017 Fiscal Year Research-status Report
ナノトンネル構造を有する鉄鉱物を用いたヒ素・フッ素複合汚染土壌の不溶化
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17K14894
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森本 和也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (10565683)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アカガネアイト / ヒ素 / フッ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然由来の複合汚染土壌から溶出が懸念される有害物質、特に報告事例の多いヒ素とフッ素について、鉄鉱物を用いた不溶化技術の開発を開始した。ヒ素およびフッ素の不溶化資材として、陰イオン交換能を持ち、酸・アルカリに対する安定性も高い鉄鉱物のアカガネアイトに着目した。アカガネアイト結晶はナノトンネル構造を有することから、ナノトンネル構造内にヒ素・フッ素陰イオンを取り込み、安定的に保持することが期待される。 アカガネアイトの合成条件について検討を行った。塩化第二鉄試薬を原料として用い、溶液濃度・合成温度・合成時間ついて条件を検討し、それに伴う溶液pHの変化についても追跡した。合成物の鉱物学的キャラクタリゼーションを、粉末X線回折分析、蛍光X線分析、走査型電子顕微鏡観察により実施した。鉱物相の同定と化学組成を明らかにし、アカガネアイトの生成量と結晶性について評価した。 最適化した合成方法で得られたアカガネアイトに対して、ヒ酸イオン・フッ化物イオンの吸着実験を実施した。ヒ酸イオンおよびフッ化物イオンをそれぞれ単独で添加したときのアカガネアイトに対する吸着特性を評価するため、固液比を定めたバッチ式の吸着試験により、所定時間振とうした後、固液分離し、溶液中に残存したイオンの濃度を測定した。ヒ酸イオンの分析には誘導結合プラズマ質量分析計を、フッ化物イオンの分析には共存する鉄イオン等の影響を避けるためイオンメーターを用いた方法で濃度測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アカガネアイトの合成条件の検討においては、用いた原料の塩化第二鉄の溶液濃度、合成温度と合成時間を変えた実験を実施し、合成物の生成量と結晶性を評価することで、アカガネアイトの最適な合成条件を探索することができた。アカガネアイトに対するヒ酸イオンおよびフッ化物イオンの吸着実験においては、イオンの正確な定量分析手法の確立と、それぞれのイオン単独での吸着特性を評価することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、アカガネアイト合成物の収率がより高くなる条件について検討を行い、高効率で工業化可能な合成方法の確立を目指す。不溶化技術の開発においては、ヒ酸イオンおよびフッ化物イオンを共存させた様々な濃度条件において、アカガネアイトに対する吸着特性を評価する。また、アカガネアイトに吸着したヒ酸イオンおよびフッ化物イオンの安定性を評価するため、試薬を用いたイオンの脱離試験を実施していく。
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Causes of Carryover |
旅費・人件費・謝金等の支出において、別予算を使用することができたため。次年度計画に沿って適切に執行する予定。
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Research Products
(10 results)