2018 Fiscal Year Research-status Report
界面動電法によるミクロ反応場を利用したベントナイト緩衝材中の化学反応の解明
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17K14906
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 真悟 北海道大学, 工学研究院, 助教 (90749037)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射性廃棄物処分 / ベントナイト / 界面動電現象 / 物質移行 / 間隙水化学 / 硫酸カルシウム / 炭酸カルシウム / 析出 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、昨年度Applied Clay Science誌に投稿した論文が掲載された。また圧縮ベントナイト中におけるCaSO4およびCaCO3凝集体の成長プロセスについて実験的・解析的に検討し、以下のような成果が得られた。 電場による析出実験の結果、CaSO4凝集体のサイズがCaCO3と比べて顕著に大きいことが明らかとなり、両者の溶解度積の違いに由来する過飽和度の違いが凝集体の成長プロセスに大きな影響を及ぼしている可能性が考えられた。また初期のCa当量分率を小さくすると、析出が狭い範囲で局所的に生じる一方で凝集体サイズが大きくなることが明らかとなり、Ca当量分率の低下に伴う低い過飽和度が凝集体の成長を促進させた可能性が考えられた。これらの結果は、高い過飽和度では核形成が、低い過飽和度では結晶成長が支配的となる一般的な傾向と整合的である。 実験結果を理論的に検討するため、陰イオン排除と陽イオン交換を考慮した空隙モデルによる平衡計算を行った。その結果、石膏(CaSO4・2H2O)の飽和指数(SI: Saturation indices)は最大で2であったのに対し、方解石(CaCO3)の飽和指数は最大で5となり、過飽和度の違いを定量的に比較することができた。またCa当量分率の低下に伴い飽和指数も低下する傾向も定量的に評価できた。これらの結果から、圧縮ベントナイトにおいても過飽和度が凝集体の成長プロセスにおいて重要な役割を果たしていることを明らかにした。 以上の成果のうち、石膏(CaSO4・2H2O)の結果について論文として取りまとめ、英文誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の課題としていた圧縮ベントナイトにおける硫酸カルシウムおよび炭酸カルシウムの核形成と結晶成長について、実験と解析の両面から一定の成果を挙げることができた。このうち硫酸カルシウムの成果については論文投稿に至っている。したがっておおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、析出現象を事例とした圧縮ベントナイト中の化学反応について実験と解析の両面から明らかにしていく。平成31年度は、炭酸カルシウムの成果について論文化を図るとともに、硫酸カルシウムおよび炭酸カルシウムの反応輸送現象を再現できる数値解析プログラムの高度化を図る。
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Causes of Carryover |
旅費、消耗品、論文投稿料、国際会議および国内会議参加料として使用予定。
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Research Products
(1 results)