2020 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical reactions of bentonite in microscopic reaction fields generated using electrokinetic technique
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17K14906
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
田中 真悟 一般財団法人電力中央研究所, 原子力技術研究所, 特定主任研究員 (90749037)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射性廃棄物処分 / ベントナイト / 界面動電現象 / 物質移行 / 間隙水化学 / 石膏(硫酸カルシウム) / 方解石(炭酸カルシウム) / 析出 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射性廃棄物処分において、ベントナイト緩衝材の変質による長期的な性能変化を精度よく評価するためには、圧縮状態下にある空隙水中での化学反応を明らかにする必要がある。その一方で、圧縮されたベントナイト中の物質移行は拡散支配であり、液相が非常に少ないため、微細な空隙水中での化学反応に関するデータ取得は容易ではない。 そこで本研究では、代表的な二次鉱物である炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムの析出反応を電気化学的に促進させる手法を適用している。これにより、圧縮状態下における各反応の閾(しきい)条件を実験的に見出し、実験データに対する地球化学計算コードの適用性を検証することで、ベントナイト緩衝材中の化学反応機構の解明を目指している。 2019年度までの研究では、圧縮状態下における硫酸カルシウム析出反応の閾条件を実験的に見出し、実験データに対する地球化学計算コードの適用性を検証した。このとき、全空隙をモンモリロナイト層間および粒子間空隙に分割し、両者の間のNa/Caイオン交換反応の選択係数を最適化することで、析出反応の閾条件を地球化学計算コードで予測できることを示した。さらに、解析から実験条件を見直し、空隙水中の過飽和度を適切に制御することで、硫酸カルシウムの凝集体サイズを変化させることに成功した。これらの成果は2編の論文として国際誌に掲載された。 2020年度の研究では、炭酸カルシウム析出反応の閾条件を明らかにした。さらに、上述の硫酸カルシウム析出反応から推定した圧縮状態下での選択係数に加え、アルカリ条件で顕在化するモンモリロナイト端面水酸基とCaイオンとの錯形成を考慮することで、炭酸カルシウム析出反応の閾条件についても地球化学計算コードで予測できる見通しが得られた。 これらの成果はベントナイト緩衝材の長期性能評価および反応輸送解析モデルの高度化に貢献すると考えられる。
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