2017 Fiscal Year Research-status Report
ダイヤモンドアバランシェダイオード実現に向けた衝突電離機構の研究
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17K14914
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
嶋岡 毅紘 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 外来研究員 (80650241)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 衝突イオン化係数 / ダイヤモンド放射線検出器 / アバランシェダイオード / 絶縁破壊強度 / pin接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子炉過酷事故対応、核融合物理学、大強度加速器を用いた高エネルギー物理学等、幅広い分野において高温動作、放射線耐性、磁気耐性等の耐環境性に優れる放射線センサへの需要が高まっている。既存のプラナ型ダイヤモンド放射線検出器は耐環境性に優れるが、信号を増幅できないため、測定系全体の耐環境性はシリコンからなる読み出し用のエレクトロニクスにより制限されてしまう。この問題に対し、内部利得を持つダイヤモンド検出器が実現できれば、測定系全体のさらなる耐環境性向上が期待できる。 本研究の目的はダイヤモンドの衝突電離機構を実験的に明らかにし、耐環境性・高内部利得を併せ持つアバランシェダイオード実現のための要素技術を開発することである。期間中に1. 衝突イオン化係数の実験的評価。2. pn接合を利用した電荷増幅機構試作の2つに取り組む。 平成29年度は衝突イオン化係数評価用のpinダイオードの試作に取り組んだ。p, i, n層の気相成長条件を探索し、直径250μmのメサ構造を有するpinダイオードを試作した。作製したダイオードは整流比10桁の良好なダイオード特性を示した。作製したpinダイオードのうち最も良好なものは2MV/cm以上の絶縁破壊強度を持つことが確認された。また、この時のリーク電流はnAオーダーであり、紫外線を用いて衝突イオン化係数評価をする際の励起強度の目途がついた。平成30年度は本年に準備した試料と測定系を用いて室温での衝突イオン化係数測定に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りMV/cmの耐圧を持つpinダイオード作製に成功したため。 また、並行して衝突イオン化係数の評価体系も構築できたことから予定通り研究が進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に得られた2MV/cm以上の絶縁破壊強度を持つ試料を用いて衝突イオン化係数評価を行う。紫外光に対して透明な入射窓を用いて、真空中でダイヤモンドに紫外光を照射し、光励起電流から衝突イオン化係数の評価を試みる。励起強度が不足する場合は、放射線源を用いたパルス波高分析法の使用も検討する。
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