2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of lanthanides extraction pattern based on chemical bonding evaluation
Project/Area Number |
17K14915
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
金子 政志 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (50781697)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ランタノイド / マイナーアクチノイド / 密度汎関数法 / メスバウアー分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2017-2018年度で検討した密度汎関数計算手法を用いて、fブロック金属イオンの分離研究において実績のあるニトリロトリアセトアミド(NTAamide)抽出剤とランタノイドイオン(Ln)との錯生成反応のモデル化に取り組んだ。 まず、報告されている単結晶構造及び溶媒抽出実験を参照し、Ln:NTAamide=1:2の錯体を作成した。構造最適化によって得られた錯体構造を解析した結果、1当量のランタノイドイオンに対して1当量のNTAamide配位子は、一つのアミン窒素と三つのアミド酸素による四座のキレートとして機能し、合計して八つの元素ドナーが配位結合を形成していることが分かった。また、錯体の対称性に着目すると、主軸として三回回転軸及び六回回映軸がLnとアミン窒素の結合軸を通り、擬似的なS6点群に属する分子構造を有することが分かった。ランタノイド間でLn-配位子の結合距離を比較した結果、Ln-O(amide)結合距離は、ランタンからルテチウムにかけて247 pmから227 pmまで緩やかに減少し、その減少幅はイオン半径のものと一致したことからランタノイド収縮によるものであることを示唆した。 続いて、LnとNTAamideの結合エネルギーを見積った結果、ランタンからルテチウムにかけて約400 kJ/mol増加し、イオン半径との比例関係から、イオン結合性の錯体を生成していることが分かった。水和錯イオンを出発物質とした錯生成ギブズエネルギー変化(ΔG)を見積った結果、サマリウムやユウロピウムで極小を持つランタノイドパターンが得られ、溶媒抽出による分配比パターンの傾向を再現した。ΔGのランタノイドパターンにおけるエンタルピー項とエントロピー項について解析した結果、ランタノイド系列におけるエントロピー項の変化が主にΔGの傾向を決定していることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)