2018 Fiscal Year Research-status Report
液液界面で起こる溶媒抽出機構の解明とそれに基づいた核分裂生成物の分離法の開発
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17K14919
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
日下 良二 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究員 (30733125)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 溶媒抽出 / メカニズム / 和周波発生分光 / 表面・界面 / ウラン / 相間移動 / 再処理 / 振動分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力分野において重要な溶媒抽出となっている、リン酸トリブチル(TBP)によるウラン(ウラニルイオン:UO2 2+)の溶媒抽出機構を明らかにするために、TBP/ウラン水溶液界面の振動和周波発生分光測定を行った。実験の結果、これまでの理論シミュレーションによる研究結果に反して、ウランとTBPは界面で錯体を形成しないことを明らかにした。さらにこの結果から、ウランは有機相に移動した後に、有機相中でTBPと錯体を形成し、有機相への抽出が完了する機構を提案した。
前年度の成果は、ユウロピウムイオン(Eu3+)が、ジ-2-エチルヘキシルリン酸(HDEHP)とHDEHP/ユウロピウム水溶液界面において、特徴的な構造の錯体を形成することを明らかにしたことである。本年度の成果と合わせると、界面で錯体を形成する場合としない場合があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウランとTBPの錯体が界面で形成しないことを示す意外な実験結果が得られたが、本年度はウランの振動和周波発生分光測定に初めて成功した。これにより原子力分野には欠かせない、アクチノイド研究への展開が可能となった段階に到達したため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ランタノイドとHDEHPの系に対して、界面の金属錯体の構造を制御できることを示す実験データが出始めている。来年度はこれらのデータをまとめると共に、どういう金属錯体の構造を界面で形成した場合に溶媒抽出の性能が高くなるのか、を明らかにする。これらの結果を踏まえて、溶媒抽出の性能が高くなるように界面の金属錯体の構造を制御する、という方針で新しい溶媒抽出法の開発を進める。
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Causes of Carryover |
実験の上手くいく方法を予想に反して早く見つけることができたので物品費が少なく済んだ。次年度に繰り越して、より発展的な実験を行うための物品消耗品に使用する。
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Research Products
(6 results)