2017 Fiscal Year Research-status Report
革新的電荷マネージメント層の創製による塗布型超高効率有機無機複合太陽電池の開発
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17K14924
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 岳仁 小山工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (90590125)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 相分離構造制御 / 相分離サイズ / マルチ電荷発生機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の2成分系バルクヘテロ相分離構造における電荷生成能力を大きく上回る3成分系バルクへテロ相分離構造によるマルチ電荷発生機構の構築とそれを用いた塗布型超高効率有機無機ハイブリッド太陽電池の開発を目指す。更に塗布プロセスの利用による低コスト化の実現と無毒材料の採用による安全性の兼備について、その可能性を示すことも目的とする。 平成29年度は本研究で最も重要となる電荷マネージメント層としての3 成分バルクヘテロ相分離構造の構築に向けた相分離サイズの実験的な見積もりと、それらの結果を用いることによる最適な相分離構造モデルの設計を行うことに主眼を置いた。発電層形成材料を用いて、積層構造素子の作製を行い、3成分バルクヘテロ構造の相分離サイズの上限を見積もった。これらの検討により、各相におけるキャリア拡散長及び最大電荷輸送距離を実験的に示すことができた。更に得られた結果から、3成分バルクヘテロ相分離構造の構築に向けた、相分離サイズ及び最適構造モデルを示すことができた。 一方、キャリア移動度が低い酸化物半導体プリカーサー(チタンアルコキシド類)のキャリア輸送能の改善を加水分解処理とナノ構造体の超高分散により、実現できる可能性を素子からの発生電流の観点から示した。 本年度の一連の検討により、電荷マネージメント層としての最適なバルクヘテロ相分離構造モデルの設計が可能となり、且つ1成分のキャリアの輸送能及び電荷輸送距離のみに制限されない相分離構造モデルが提言できた。 平成30年度以降はこれらの結果を指標に3成分バルクヘテロ構造によるマルチ電荷発生機構の実証と相分離構造制御による高効率化を目指した検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、本提案の太陽電池における電荷マネージメント層としての3 成分バルクヘテロ相分離構造の作製に向けた相分離サイズの実験的な見積もりを行うことができ、更にそれらの結果を用いて、最適な相分離構造モデルの設計を行うことができた。即ち、平成30年度以降に実施予定の3成分バルクヘテロ相分離構造の実証に向けた、相分離サイズ及び最適構造モデルを提案することができた。 また、機能層としても用いる酸化物半導体プリカーサー(チタンアルコキシド類)のキャリア輸送能の改善を加水分解処理とナノ構造体の超高分散により実現できる可能性を示すことができた。 従って、本年度の研究は研究計画に沿っておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実際の塗布型太陽電池素子でのマルチ電荷生成機能の実証と「分子の立体障害性の利用」と「ソルビリティーパラメータ(SP値)を指標」とした相分離構造制御を行い、平成29年度に設計、提案した相分離構造モデルを実現させる。電荷分離と電荷輸送に適した多数の電荷分離界面の構築と電極方向への共連続化が可能な相分離構造の形成を目指す。 本提案の電荷マネージメント層は3成分系であるため、従来以上に高度な相分離構造制御技術の確立が必要となる可能性がある。そのため、分子の立体障害性に加え、溶媒のSP値をその指標として組み込む予定である。具体的な相分離構造の確認及び検証には申請者所属機関で保有のSEM(JSM-7800)を用い、スクリーニングを実施する。更に薄膜の分光特性から高い光電流を得ることが可能な膜厚を決定する。 また、次年度の検討となる電荷捕獲アシスト層に有効な材料選定と最終的な素子構造を設計、提案する。
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Causes of Carryover |
消耗品類が所属研究機関から配分される研究経費(所属研究機関内での研究プロジェクト経費)で購入することができ、これにより、本年度未使用であった経費を次年度以降の研究に使用する消耗品類購入のための物品費とすることとした。
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Research Products
(21 results)