2017 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経系のサイレント・マジョリティが担う機能 ―エングラム表現への関与―
Project/Area Number |
17K14937
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮脇 寛行 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (40785979)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
サイレント細胞とアクティブ細胞に異なる光感受性タンパク質を発現させ、それぞれの細胞グループを選択的に刺激または抑制するために必要な分子ツールの開発が進行中である。具体的にはチャネルロドプシン2とアーキロドプシンTの発現がcre依存的に切り替わるDNAコンストラクトを作成した。また、c-Fosプロモーターの下流にCreERを組み込んだコンストラクトし、これらのコンストラクトを元にウイルスベクターを作成する準備を進めている。 また、記憶に関わる脳部位で、どの程度の割合の細胞がアクティブ細胞あるいはサイレント細胞であり、それぞれがどの程度安定的にアクティブ、あるいはサイレントであるのかは不明な点が多い。この点を把握しないまま研究を進めることは難しいと考え、当初の予定に加え電気生理学的な検討に着手した。 本研究では恐怖条件付をモデルとしてサイレント細胞の働きを解明する事を目指している。そこで、電気生理学的な検討にも恐怖条件付けを用いることとした。そのため、眼瞼に留置した電極を用いて刺激を行うことでノイズを低減し、電気生理学的な手法と併用可能な恐怖条件付け手法を確立した。 続いて、複数のシリコン製多点電極を用いることで恐怖記憶に関与している腹側海馬、扁桃体、前頭前野の神経細胞の活動を、自由に行動している動物から記録した。記録は恐怖条件付けの前から記憶保持テストを経て消去学習まで連続して行った。例数を増やすべく、実験が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイレント細胞とアクティブ細胞をそれぞれ選択的に操作する分子ツールについては開発中であり、この点については若干の遅れがある。 しかし、当初の予定に加え、サイレント細胞やアクティブ細胞の活動の様子を生体内で把握する研究に着手し、データが得られ始めている。このデータは、開発中の分子ツールの評価を行う上で必要不可欠なものであり、ツールそのものの開発の遅れを補って余りあるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
サイレント細胞、アクティブ細胞の実体を把握しないまま、それらの活動を操作しても結果の解釈が難しいと考えられる。そこで、当初の予定とは異なるが、まずはサイレント細胞・アクティブ細胞の生体内での活動について、電気生理学的な手法による検討を優先して進める。
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Causes of Carryover |
消耗品が予定よりやや安価に調達できたため余剰が生じた。 この分は次年度の消耗品購入に充てる予定である。
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