2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14939
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
北西 卓磨 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90722116)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大規模細胞外計測 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者らが見出した前障→内側嗅内野という神経投射における情報伝達の実態を、行動中の動物における大規模神経活動計測および光操作により明らかにすることを目的としている。本年度は本研究を実施するための実験系の構築に注力した。具体的には、脳に多点電極や光ファイバの埋め込みをおこなう手術設備 (脳定位固定装置、手術用実体顕微鏡、気化麻酔装置)、多点同時記録システム (最大512チャネルの多点記録電気生理装置、動物の行動を記録するビデオシステム、データ取込および解析用ワークステーション、シリコンプローブ電極、3Dプリンタで作成した電極保持ドライブ、各種の行動課題装置)、および光遺伝学システム (ウイルス注入装置、レーザードライバー、脳に挿入する光ファイバ・レーザーアセンブリ) を構築した。これらの機器を用いて、最大256点からなる多点電極を脳に慢性的に留置することで、動物が各種の行動課題をおこなうさいに100個程度の神経細胞の活動を一斉に計測することができるようになった。また、離れた2か所の脳領域に電極を留置することで、2領域間の神経活動の相互作用について調べることも可能となった。さらに、光感受性のカチオンチャネルであるチャネルロドプシンおよびその改変体を発現するウイルスベクターとレーザー光源をもちいた光照射により、神経活動を増減させる光遺伝学のシステムも構築した。これらの成果により、動物の行動と神経活動とを関連付けて調べるとともに、神経活動の光操作による他領域や動物の行動への影響を評価するための実験系が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究における中心的な実験技術となる大規模神経活動計測と光操作法を確立することができた。これにより、各種の課題を行うさいの動物の行動と神経活動の関係を調べることができるようになり、また、光操作によって神経活動との因果性を調べることも可能となった。これらの理由から、おおむね順調に進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度にセットアップした実験系をもちいて、前障および嗅内野の神経活動の計測をすすめる。この2領域の神経活動の同時計測をおこない、個々の領域の神経活動のパターン、および、2領域間の神経活動の相互作用について明らかにしていく。内側嗅内野は空間情報の処理にかかわることがよく知られていることから、空間課題を中心としたいくつかの行動課題を実施していく。さらに、同時計測から得られた知見をもとに前障の光操作の実験をすすめ、行動中の特定のタイミングにおける前障の神経活動の操作が、下流の脳領域である内側嗅内野の神経活動に与える影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
おおよそ当初の計画通りに支出したものの、若干の次年度使用額 (8,320円) が生じた。次年度に物品費として使用することを計画している。
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Research Products
(9 results)