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2018 Fiscal Year Research-status Report

領野間情報伝達を担う投射先選択的な神経細胞間の同期発火

Research Project

Project/Area Number 17K14942
Research InstitutionNational Institute for Physiological Sciences

Principal Investigator

石川 理子  生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 助教 (60547991)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords一次視覚野 / 高次視覚野 / 同期活動 / 生後発達
Outline of Annual Research Achievements

本研究計画は、視覚関連脳領域間の情報伝達における同期発火の機能的な役割と神経基盤および発達機構を明らかにすることを目的とする。

これまでに、一次視覚野(V1)神経細胞の同期活動が、生後の視覚経験に依存して発達することを見出した (Ishikawa et al., 2018)。多チャンネル記録法によりV1の複数の神経細胞活動を同時記録したところ, 2-4層の細胞は、生後の形態視環境下でのみ類似した視覚反応性をもつ細胞間で同期発火を発達し、5-6層の細胞は、視覚遮断下においても同期的な神経活動が発達した。

本年度は、V1 の2/3層とそのターゲット領域であるV2神経細胞の活動を同時記録した。生後発達期の環境を操作することによりV1 の2/3層の同期発火を低下させたラットでは、V2神経細胞の発火頻度そのものが低下することを見出した。この結果は、同期発火がV1-V2間の情報伝達において機能的な役割を果たしていることを示唆する。V1-V2領域間の発達時期を同定するために異なる発達段階のラットを用い、視覚生理実験を行った。V2神経活動は、開眼直後より観察された。また視覚入力遮断後一週間以降にV2神経活動が低下することを見出した。この結果は、V1における同期的な神経活動が、V1-V2間における情報伝達の維持にかかわっていることを示唆する。今後は、V1神経細胞の同期発火がV1-V2間の発達における役割をより直接検証するために生後の発達時期特異的にV1の2/3層神経細胞を光遺伝学的手法により活動操作し、V1-V2間の生後発達期においてV1神経活動パタンの機能をより直接的に検証する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

従来の計画では、個々の領域における受容野位置と活動同期性の強度を対応付けて評価するため、あらかじめ内因性信号の光学的マクロイメージングにより各視覚領野の視野地図を再現し、その後電気生理学的手法によりその領野における神経活動の記録を行うことを計画していた。しかし、幼若ラットにおいて内因性信号による安定した視野地図の再現が行えなかったため、神経トレーザーを記録する領域の対側脳に予め注入し、対側に投射する脳領域を可視化したうえで電気生理学的手法を用いて記憶を行った。この方法により、V1-V2境界領域を可視化することは可能となったが、記録前に正確な受容野位置を同定することは困難であり、実験の成功率が低下した。この点を解決するために、より多くの神経細胞から同時に記録できるシステムの構築を検討する予定である。

Strategy for Future Research Activity

本研究計画は、当初の研究計画では ①投射先を共有するV1神経細胞群が微小神経回路網を形成するか ②V1における同期発火と投射先の神経活動の関係の同定 ③V1と高次視覚野の機能的結合の生後発達を検証する予定であったが、①については他の研究グループより同様の研究成果が先に報告された。今後は、主に②③を明らかにするために、V1同期発火が領野間結合の発達における機能的役割を検証する。すでに、1) V2領域の神経細胞の視覚反応性が開眼直後から存在すること 2) 視覚遮断により減弱することを見出しており、これらの結果は、V1同期発火がV2神経活動の形成ではなく維持に必要であることを示唆する。今後は、この点をより直接的に検証するために、光遺伝学を用いV1神経活動を人為的に操作しV1-V2の機能的結合の生後発達様式を同定する。

Causes of Carryover

(次年度使用額が生じた理由) 実験計画に遅れが生じ、多チャンネル電極による視覚生理実験を延期せざるを得なかったため、次年度使用額が生じた。

(次年度使用額の使用計画)未使用額により、神経トレーサー用試薬、およびより多くの神経活動を記録するための新しい形の電極の購入を予定している。

Research Products

(2 results)

All 2018 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Experience-Dependent Development of Feature-Selective Synchronization in the Primary Visual Cortex2018

    • Author(s)
      Ishikawa Ayako Wendy、Komatsu Yukio、Yoshimura Yumiko
    • Journal Title

      The Journal of Neuroscience

      Volume: 38 Pages: 7852~7869

    • DOI

      https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0027-18.2018

    • Peer Reviewed
  • [Remarks] 大脳皮質視覚野の神経細胞の同期的活動が発達するメカニズムを解明

    • URL

      https://www.nips.ac.jp/release/2018/08/post_371.html

URL: 

Published: 2019-12-27  

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