2017 Fiscal Year Research-status Report
A study of somatosensory modification by attention that focuses on the basal forebrain GABAergic neuron
Project/Area Number |
17K14943
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
太田 桂輔 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (40610382)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 前脳基底部 / 大脳皮質 / GABA作動性ニューロン / ホールセルパッチクランプ / ScaleS / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで前脳基底部コリン作動性ニューロンが注意に関わる神経細胞と考えられてきた。しかし、近年の光遺伝学的手法を駆使した研究によって、前脳基底部の注意に関わる細胞は非コリン作動性ニューロンであると示唆された。本研究では大脳皮質に軸索を投射する前脳基底部 GABA 作動性ニューロンに注目する。この神経細胞が注意時に活性化して体性感覚の検出能力を上昇させると仮説を立て研究を遂行する。 初年度である本年度は、前脳基底部GABA作動性ニューロンから直接シナプス入力を受ける大脳皮質の神経細胞を同定することを目標として研究を遂行した。大脳皮質の神経細胞は興奮性細胞と抑制性細胞に分けられる。抑制性細胞はさらに発現タンパク・形態・発火特性などによって細分化される。この背景を踏まえ、脳スライスを用いた以下の実験を立ち上げた。まずバイオサイチンを充填させた記録電極でホールセルパッチクランプ法により単一神経細胞の発火特性を記録した。十分な時間だけホールセル状態を形成し続けた後に、脳スライスをPFAにより組織固定した。ScaleS(Hama et al., 2015)によって固定脳スライスを透明化した。同時に抗体染色によりバイオサイチンを可視化し、パルブアルブミンまたはソマトスタチンの免疫染色を行った。共焦点顕微鏡によって記録細胞の形態を3次元で観察した。記録細胞がパルブアルブミン陽性、ソマトスタチン陽性、いずれにも陰性であるかの判断も行った。興奮性細胞にはスパインが見え、Fast spiking neuronはパルブアルブミン陽性であり、Late spikingが観察された細胞はパルブアルブミン・ソマトスタチン陰性であるなど従来の報告通りの結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度である本年度は、1. 前脳基底部GABA作動性ニューロンから直接シナプス入力を受ける大脳皮質の神経細胞を同定すること、2. 大脳皮質に投射する前脳基底部GABA作動性ニューロンの細胞種を同定することを目標とした。しかしながら、両者を達成することはできなかった。1に関してはホールセルパッチクランプ法による大脳皮質神経細胞の細胞内記録と記録細胞の細胞種を同定する実験手法の確立に留まった。2に関しては、パッチクランプによりmRNAを抽出する条件検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初年度に完了しきれなかった1. 前脳基底部GABA作動性ニューロンから直接シナプス入力を受ける大脳皮質の神経細胞を同定すること、2. 大脳皮質に投射する前脳基底部GABA作動性ニューロンの細胞種を同定することを引き続き行う。 1に関しては、前脳基底部のGABA作動性ニューロン特異的にChR2を発現させて、ChR2の活性化にともないシナプス入力を受ける細胞を同定する。初年度で確立した手法と組み合わせることで、前脳基底部GABA作動性ニューロンから直接シナプス入力を受ける大脳皮質の神経細胞を同定する。 両者が完了し次第、前脳基底部GABA作動性ニューロンにカルシウムセンサータンパク質であるGCaMPを発現させ、軸索終末を大脳皮質で観察する。慢性的に神経活動を記録、自由行動下での新活動記録を考慮してファイバーフォトメトリによる軸索終末の記録を検討している。
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