2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14948
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
幸長 弘子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 基礎科学特別研究員 (30729207)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | メスマウス / 神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性の睡眠は月経、妊娠、閉経などライフイベントによって大きく左右される。このような女性特有のライフイベントの仕組みを解決することは、より多くの女性が活躍できる社会づくりにつながる可能性がある。メスマウスも性周期によって行動量が変化することが知られている。例えば、性周期によって変化する女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンなどが睡眠に影響することはわかっているが、どのように睡眠を制御しているのか、その詳しい分子メカニズムや作用機序はわかっていない。そこで、睡眠測定装置と全脳を観察する透明化技術、神経活性をモニターできるトランスジェニックマウス等を用い、脳内のどの細胞で、どのような遺伝子が、メスマウス特有の活動パターンを作り出しているのか検証している。初年度は、まず、メスマウスの性周期並びに睡眠量の測定を行った。野生型メスマウスも性周期ならびに睡眠時間量が4-5日周期で変化していることが確認できた。次に、神経活性を全脳レベルでモニターする系の確立を行った。細胞を自動で抽出し、複数の脳を比較するための解析プログラムを使用することで、脳のどの部位の細胞が活性化しているか把握することができるようになった。次に、メスのトランスジェニックマウスを用い、性周期を調べると、野生型メスマウスと同様に4-5日周期で変化していることが確認できた。また、睡眠量も4-5日周期で変化していた。そこで、メスマウスの性周期に伴う4-5日睡眠パターンと脳内の活性化状態の関係性を調べるため、性周期を算出し、睡眠・覚醒状態を測定し、脳のサンプリングを行った。この脳を透明化し、シートレーザー顕微鏡を用いて観察すると、性周期によって脳の活性化状態は異なるパターンを示す様子が観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に則り、順調に研究が進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、メス特有のライフイベントによって異なる脳の活性化状態をより詳細に解析し、文献等と照らし合わせることにより、特定の脳領域を絞り込んでいく。また、in situ ハイブリダイゼーション等を用いることにより、主に活性化している神経細胞の種類を特定していく。候補遺伝子と候補脳部位が絞り込めれば、オプトジェネティクスや、DREADD法を用いて標的部位を活性化または不活性化し、その時の活動量やホルモン量、性周期を調べる予定である。
|
Causes of Carryover |
イメージング試薬、測定機器等の購入を次年度に繰り越したため、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(1 results)