2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of role of RNA editing in neuropathic pain
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17K14959
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内田 仁司 新潟大学, 脳研究所, 助教 (30549621)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / RNA編集 / 脊髄後根神経節 / ADAR / アロディニア |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに本研究代表者は、末梢神経損傷に起因する慢性疼痛(神経障害性疼痛)の分子基盤として、神経損傷後の一次知覚神経におけるRNA 編集異常を見出すとともに、RNA 編集酵素ADAR2 の全身性欠損マウスでは神経損傷後のアロディニアが減弱することを明らかにしてきた。この研究背景に基づく本研究では、神経損傷後の一次知覚神経に生じる、ADAR2 を介するRNA 編集亢進に焦点を当て、その制御機構とRNA 編集基質の機能解析を通じて、神経障害性疼痛におけるRNA 編集の病態学的役割の解明を目指す。 研究実施計画に基づき、当該年度では、既に同定している「蛋白質翻訳領域におけるRNA 編集亢進部位」の病態学的役割を解明するために、編集型あるいは未編集型の分子を発現するプラスミドを構築し、それらの細胞内局在などを比較解析した。さらに、ADARおよびその活性変異体を発現するプラスミドを構築するとともに、特異的かつ効率的に編集阻害するアンチセンスオリゴ法またはcrispr/cas9法を確立するために、RNA編集に必要となる相補性配列(ECS)の特定を進めている。 その一方で、in situハイブリダイゼーション法を用いて、ADAR2の発現分布を評価する系を確立しており、「病態時の発現分布」並びに「知覚神経特異的なADAR2のノックアウト(あるいはノックダウン)」を評価する準備が整った。重要な手がかりとして、神経損傷に伴う神経障害性疼痛だけではなく、他の慢性疼痛モデルにおいても、一次知覚神経におけるADAR2の発現上昇が生じることを見出した。現在、基質のRNA編集効率変動の解析を進めており、神経障害性疼痛との類似性と相違性が認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、神経損傷後の一次知覚神経に生じる「ADAR2を介する RNA編集亢進」を軸として、RNA編集を介する神経障害性疼痛の病態メカニズムを解明することを目的としている。初年度では、神経損傷後においてADAR2によるRNA編集が亢進する分子について、編集型と未編集型の機能相違を評価するとともに、部位特異的なRNA編集阻害法を確立するための解析を進めた。その一方で、複数の慢性疼痛モデルの一次知覚神経においてADAR2の発現増加が生じることを見出すとともに、基質のRNA編集効率変動の類似性と相違性を見出し、今後の解析の手がかりを得ることができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、初年度研究を継続することにより、神経障害性疼痛におけるRNA編集基質の病態学的役割を明らかにすることを計画している。また、研究実施計画に基づき、一次知覚神経におけるADAR2の病態関与を明確にするために、ADAR2のノックダウンあるいはノックアウト実験を行うとともに、その際の病態変化、具体的には遺伝子発現とその制御機構を解析することを計画している。
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Causes of Carryover |
実験計画に基づき、ADAR2-floxマウスおよびadvillin-Cre(あるいはCreERT2)を譲受・購入・繁殖するともに、Crispr/Cas9を用いて部位特異的なRNA編集欠損マウスを作製する予定であり、これらの経費に使用することを計画している。
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Research Products
(4 results)