2017 Fiscal Year Research-status Report
受容体型チロシンホスファターゼによる新たな標的認識機構の解明
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17K14962
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安村 美里 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20533897)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 軸索側枝 / 皮質脊髄路 / 受容体型チロシンフォスファターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞は、軸索側枝を形成することで、標的である複数の神経細胞へ同時に投射することができる。このことにより、神経活動の協調的活動が可能となる。軸索側枝は脳内の様々な領域の神経回路で見られる現象であるが、軸索側枝形成の分子機構については未だ不明な点が多い。申請者らは、これまでの研究から、皮質脊髄路(錐体路)から橋核への軸索側枝形成に、受容体型チロシンフォスファターゼのLARが関与している可能性があることを見出している。本研究は、LARを介した軸索側枝形成の分子機構を明らかにすることを目的としている。今年度は、以下の結果を得た。 1) 側枝形成時期に優位に発現するLARのスプライスバリアントの解析:LARの細胞外領域には4種類のスプライスバリアントが存在し、バリアントごとに結合する分子が異なることが知られている。側枝形成時期の皮質脊髄路起始細胞で発現しているLARのバリアントを、定量RT-PCRで検討した。その結果、4種類存在するスプライスバリアントのうち、2種類が優位に発現していることが明らかとなった。 2)LARの相互作用分子の同定:側枝形成時期に優位に発現しているバリアントのLARを用いて、相互作用分子の探索を行った。LARの細胞外領域にFcを融合させたタンパク質を精製し、アフィニティカラムを用いて、脳全体もしくは橋核の抽出物からLARと結合する候補分子を同定した。これらの分子のうち、膜タンパク質と分泌タンパク質に関して、LARとの結合をPull-downを用いて検討したところ、数種類の分子がLARと直接結合することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、側枝形成時期に優位に発現しているLARのスプライスバリアントを決定することができ、さらに、LARを介した側枝形成に関与する可能性がある候補分子をいくつか得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の解析を進めていく。 1) リガンド候補分子との相互作用の、より詳細な解析:直接結合することが確認できたリガンド候補分子について、LARとの結合様式(transまたはcis結合)や、LARと結合する領域を同定する。 2)リガンド候補分子の側枝形成への関与の検討:培養神経細胞でリガンド候補分子を過剰発現もしくはノックダウンした時に、側枝形成にどのような影響を及ぼすかを検討する。 3) リガンド候補分子の生体脳での側枝形成への関与の検討:皮質脊髄路起始細胞や橋核へ遺伝子を導入し、これまでの実験で得られたリガンド候補分子の側枝形成への関与を、実際の脳内で検証する。 4)LARの活性が軸索内細胞骨格に与える影響の検討:軸索側枝の出芽はアクチン繊維の集積に始まり、フィロポディアができた後、メインの軸索内の微小管プラス端が進入することで終結する。LARとリガンド候補分子を相互作用させた時に、これらの細胞骨格の動態に影響を及ぼすかを検討する。
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Research Products
(4 results)