2017 Fiscal Year Research-status Report
筋萎縮性側索硬化症におけるアストロサイト毒性転換機構の解明
Project/Area Number |
17K14963
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小峯 起 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (00456211)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 自然免疫 / グリア細胞 / 末梢免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスの研究から、運動神経の異常のみならずその周囲で活性化したグリア細胞の異常も病態進行に関与することが明らかにされているが、解析ツールやマーカーの少なさからアストロサイトの毒性転換機構や発現する病態関与分子についてはほとんど明らかにされていない。そこで本研究は、アストロサイトの毒性転換や蓄積が示唆される自然免疫TRIF経路欠損ALSモデルマウスやアストロサイトの毒性転換が示唆される末梢免疫反応を変容させたALSモデルマウスの脊髄から単離したアストロサイトを用い、その毒性転換及び細胞死や病態に関与する発現分子の同定を目指し、研究を進めている。今年度は、計画していた運動神経細胞とアストロサイトの共培養実験が安定しなかったため、次世代シーケンサーによる遺伝子発現解析を優先して行った。ALSモデルマウス、TRIF欠損ALSモデルマウス、末梢免疫反応を変容させたALSモデルマウスのそれぞれの脊髄から磁気細胞分離法によってアストロサイトを単離し、RNA抽出後、ライブラリ作成、次世代シーケンサーにかけるところまで終了した。次年度は、アストロサイトの毒性転換に関与する分子の同定を目指し、得られたデータについて、比較解析を行い、アストロサイトの毒性転換に関与する分子の同定を行う。同定された遺伝子について、組織解析による検証を行う。また、培養実験等を用い、その遺伝子を阻害や賦活する薬剤の添加及びその遺伝子の強発現やノックダウン等によりアストロサイトの毒性に変化が見られるか評価する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、計画していた運動神経細胞とアストロサイトの共培養実験が安定しなかったため、次世代シーケンサーによる遺伝子発現解析を優先して行ったが、ALSモデルマウス、TRIF欠損ALSモデルマウス、末梢免疫反応を変容させたALSモデルマウスのそれぞれの脊髄から磁気細胞分離法によってアストロサイトを単離し、RNA抽出後、ライブラリ作成、次世代シーケンサーにかけるところまで終了できた。以上のことからおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ALSモデルマウス、TRIF欠損ALSモデルマウス、末梢免疫反応を変容させたALSモデルマウスのそれぞれの脊髄から単離したアストロサイトの次世代シーケンス解析から得られたデータの比較解析を行い、アストロサイトの毒性転換に関与する分子の同定を行う。同定された遺伝子について、組織解析による検証を行う。また、培養実験等を用い、その遺伝子を阻害や賦活する薬剤の添加及びその遺伝子の強発現やノックダウン等によりアストロサイトの毒性に変化が見られるか評価する。
|
Causes of Carryover |
今年度は、計画に含まれていた運動神経細胞とアストロサイトの共培養実験が安定しなかったことから、計画の優先順位を変更したため、次年度使用額が生じた。次年度は、アストロサイトの毒性転換に関与する分子を同定するため、遺伝子発現解析用ソフトウェア、細胞培養用培地類、遺伝子発現解析用酵素類、組織解析およびタンパク質発現解析用抗体等を購入予定である。その他、本研究課題の遂行に必要な消耗品(分子生物学的実験用試薬等)についても購入予定である。また、国内外の学会に参加し、積極的に研究発表したいと考えている。
|
Research Products
(12 results)