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2018 Fiscal Year Research-status Report

TDP-43異所性プロモーターの異常活性化を介したALS病態悪化機構の解明

Research Project

Project/Area Number 17K14967
Research InstitutionJikei University School of Medicine

Principal Investigator

長谷川 実奈美  東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00778764)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
KeywordsALS / TDP-43 / プロモーター / スプライスバリアント / 転写制御
Outline of Annual Research Achievements

TDP-43はALSの原因遺伝子の一つと考えられているが、TDP-43遺伝子変異を持つ患者はALS全体の数%に過ぎない。しかし9割のALS患者の運動ニューロンにTDP-43陽性封入体が検出されることが報告され、病因によらず運動ニューロン死へ至る過程で共通してTDP-43がALSの発症や進行に関与することが示唆される。TDP-43は標的の転写やスプライシングなど核酸代謝調節を行うDNA/RNA結合タンパク質である。近年、ALS患者の脳内よりTDP-43標的のスプライシング異常が検出されたことから、実際に患者脳内においてTDP-43の機能不全が引き起こされていることが示唆される。本研究は、TDP-43の核酸代謝調節機構の破綻がALSの発症・悪化のリスクとなるか検証すること、またその起点を同定することを目的としている。これまでの本研究成果より、TDP-43スプライスバリアントの一つ(TDPsv)が翻訳されALS患者の運動ニューロンで有意に局在パターン変化を引き起こしていることがわかった。また、TDPsvの上流領域は異所性プロモーター活性を示し、この活性化とTDPsvの蓄積がALSの病態生理に関与することが示唆された。2019年度はTDP-43の本来のプロモーターと異所性プロモーターに対するTDPsvの影響を比較した。TDPsvは異所性プロモーターを顕著に活性化させるのに対し本来のプロモーターに対しては影響しないことがわかった。また、野生型TDP-43は本来のプロモーターに対して抑制性に働く一方で、変異型TDP-43はその抑制効果が弱い上、異所性プロモーターを野生型よりも有意に活性化することがわかった。以上よりTDPsvおよび変異型TDP-43は本来のプロモーターへの影響が弱い一方で異所性プロモーターの活性化を誘導することが示され、自身の転写を高く維持する新規機構の存在が疑われた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2019年度の研究成果により、TDPsvのみならず変異型TDP-43もTDP-43異所性プロモーターに対して活性化能力を持つことがわかった。また、TDP-43転写開始点上流領域に存在する本来のプロモーターはこれまで実験的には同定されておらず、ソフトウェアによる予測のみであったが、本研究においてTDP-43上流プロモーターを初めてクローニングし実験的に活性を検出した。TDP-43の上流プロモーターが同定されたことは、TDP-43のRNA結合タンパク質としての機能に加え転写制御因子としての機能についても注目するきっかけとなり、今後解析が進むことが期待される。
2018年度までの研究成果をもとに2019年度は神経科学大会において研究成果を発表する予定である。また、本研究成果を査読のある学術誌へ投稿中であり、今後の研究進展が期待できる。

Strategy for Future Research Activity

2019年度は以下の計画により研究を推進する。①TDP-43本来のプロモーターおよび異所性プロモーターの活性化によるTDP-43転写レベルへの影響を検証する為、CRISPR-dCas9遺伝子発現活性化システムによりTDP-43上流プロモーターおよび異所性プロモーターを活性化させた際のTDP-43およびTDPsv mRNA量を調査する。②TDPsvの運動ニューロンに対する毒性の有無を検証する為、健常人iPS細胞由来運動ニューロンにTDPsvを過剰発現させ、運動ニューロンマーカー陽性細胞数、神経突起長への影響を解析する。③ALS患者において同定された変異型TDP-43のTDPsv産生への影響を検証する為、変異型TDP-43ノックイン (KI) iPS細胞由来運動ニューロンにおいてTDPsvの発現解析を行う。④変異型TDP-43 KI iPS細胞由来運動ニューロンにおいて2つのTDP-43プロモーター活性に変化があるか検証する為、プロモーター活性を野生型TDP-43 KI群および非KI群と比較する。

Causes of Carryover

2019年度は成果報告の為に学会発表や学術誌への投稿を行う為、出張費や英文校正費、投稿料として一部の直接経費を次年度の経費とした。

URL: 

Published: 2019-12-27  

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