2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of ALS exacerbation through abnormal activation of the TDP-43 ectopic promoter.
Project/Area Number |
17K14967
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
長谷川 実奈美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00778764)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ALS / TDP-43 |
Outline of Annual Research Achievements |
TDP-43はALSの原因遺伝子の一つと考えられているが、TDP-43遺伝子変異を持つ患者はALS全体の数%に過ぎない。しかし9割のALS患者の運動ニューロンにTDP-43陽性封入体が検出されることが報告され、病因によらず運動ニューロン死へ至る過程で共通してTDP-43がALSの発症や進行に関与することが示唆される。TDP-43は標的の転写やスプライシングなど核酸代謝調節を行うDNA/RNA結合タンパク質である。近年、ALS患者の脳内よりTDP-43標的のスプライシング異常が検出されたことから、実際に患者脳内においてTDP-43の機能不全が引き起こされていることが示唆される。本研究は、TDP-43の核酸代謝調節機構の破綻がALSの発症・悪化のリスクとなるか検証すること、またその起点を同定することを目的としている。これまでの本研究成果により、TDP-43スプライスバリアントの一つ(TDPsv)が翻訳されALS患者の運動ニューロンで有意に局在パターン変化を引き起こしていることがわかった。また、TDPsvの上流領域は異所性プロモーター活性を示し、この活性化とTDPsvの蓄積がALSの病態生理に関与することが示唆された。2018年度の研究成果より、TDP-43の転写開始点上流においてプロモーター活性を確認した。2019年度の研究成果より、TDPsvはTDP-43本来の上流プロモーターには影響しないものの異所性プロモーターを活性化させることがわかった。以上よりTDPsvおよび変異型TDP-43は本来のプロモーターへの影響が弱い一方で異所性プロモーターの活性化を誘導することが示され、自身の転写を促すポジティブフィードバック機構の存在が示唆された。2019年度は実施期間中の研究成果をNeuro2019にて発表した。また、本成果を査読のある学術誌へ投稿中であり、今後の研究進展が期待される。
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