2017 Fiscal Year Research-status Report
「ホールデンの規則」を制御する遺伝子の特定による生殖隔離機構の解明
Project/Area Number |
17K14971
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水野 聖哉 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10633141)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 野生由来マウス / 生殖隔離 |
Outline of Annual Research Achievements |
異種間交配により誕生した個体は生殖能力が欠如することが多い。この生殖能力の欠如は、種を保全するための強力なバリアーである。このバリアーによる異種間の生殖隔離は、それぞれの種が独立して維持・進化するために重要である。 野生に由来する近交系マウスと実験動物として100年近く使用されている近交系マウスでは、生殖隔離現象が生じる。本研究では、この二つの系統を利用して、生殖隔離現象の分子メカニズムの解明を試みる。 まず、過去の文献より、生殖隔離に関連すると思われる染色体領域を抽出し、その領域における遺伝子配列を野生由来マウス系統と一般的実験動物マウス系統間で比較した。その結果、約20の遺伝子の機能的部位においては多型が認められた。次にそれらの第一候補遺伝子の発現を確認したところ、約5個のprotein coding geneと約10個のnon-coding RNA遺伝子が生殖細胞で発現していることが明らかとなった。そこで、一般的実験動物マウス系統の遺伝背景下にて、CRISPR-Cas9を用いて、これらの遺伝子をそれぞれ破壊したKOマウス系統を作出した。その結果、2つのKOマウス系統で胚性致死もしくは生殖不全の表現型が生じた。 野生由来マウス系統においてもゲノム編集を行うことために、体外受精条件等を検討したが、精子自身の体外受精活性は強いものの排卵処理がコントロールできないために、期待するほどの受精卵を得ることができなかった。そこで、野生由来マウス系統のES細胞の樹立を行い、性染色体がXYのオス型のES細胞を樹立することに成功し、現在、生殖系列へと移行可能であるかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補となる遺伝子をいくつか発見しており、研究は順調に遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回浮かび上がった候補遺伝子の条件付きノックアウトマウスを作出し、その機能の詳細をin vivoで解析する。また野生由来マウス系統のES細胞にて候補遺伝子のゲノム編集を行うことで、野生由来マウス系統の遺伝背景での候補遺伝子機能の解析を行う。
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