2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14980
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
原本 悦和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30540869)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血球細胞 / 血液凝固 / 止血 / アフリカツメガエル / ネッタイツメガエル / イベリアトゲイモリ |
Outline of Annual Research Achievements |
血液凝固後の経時的な遺伝子発現変化の解析を継続して行ってきた。無尾両生類であるアフリカツメガエルを用いて行ったこれまでの研究をもとに、近縁種であるネッタイツメガエルでも同様の遺伝子発現変化が生じるのかについて解析を進めている。両生類の中でも高い組織再生能力をもつ有尾両生類を用いた解析を行うためには、遺伝子配列情報を得る必要があった。しかし、イモリはゲノムサイズが大きいなどの理由で、研究の基盤となる遺伝子配列情報がほとんど整備されていなかった。有尾両生類であるイベリアトゲイモリは、日本の研究者が中心となって、飼育システムの確立、近交系の確立、高効率のゲノム編集法の開発など研究基盤の構築が進められており、実験室での飼育や繁殖が容易な新しいモデル生物として注目されている。そこで、国内の複数の研究機関と共同して、様々な試料から抽出したRNAをもとに網羅的な遺伝子配列情報を得た。その成果は国際誌に発表するとともに、得られた遺伝子配列情報はポータルサイト“iNewt”(http://www.nibb.ac.jp/imori/main/)で公開しており、世界中の研究者が自由に利用することが可能となっている。この他、細胞の挙動をリアルタイム観察するための方法として、ウイルスベクターによる蛍光タンパク質遺伝子の導入を検討した。培養細胞株や初期胚を用いて検討したところ、細胞の種類によって遺伝子導入効率がかなり異なることがわかってきた。血球細胞種によってはウイルスベクターによる遺伝子導入が効率的に行えない可能性もあるため、細胞を標識する手法について更に検討を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き「血液凝固時の経時的遺伝子発現の網羅的解析」、「各種血球マーカーの探索」を継続して進めている。血球細胞の挙動をリアルタイム観察するための手法の開発が遅れているが、研究計画全体はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
血液凝固反応のあと経時的に発現が変化する遺伝子群についてパスウェイ解析などを進めることで、血球細胞にどのような変化が起こっているのか解析するとともに、ネッタイツメガエル・アフリカツメガエル・イベリアトゲイモリなど両生類間での比較解析を進める予定である。引き続き、マーカー候補遺伝子やレクチンマーカー等の探索を進める。それぞれの両生類において、各血球細胞を高精度で分取することができれば、マーカーの探索がより効率的に行える可能性があるため、アフリカツメガエルで新たに報告された手法を他の生物種へ適用できるか検討したい。ゲノム編集技術を用いてマーカー遺伝子にレポーターを導入する、蛍光標識したレクチンで生染色する、血球細胞を選別後に蛍光遺伝子等を導入する、などの方法により血液凝固後の各種血球細胞の挙動をリアルタイム観察することを目指している。同定した血球マーカー候補遺伝子が生体内でどのような役割を果たしているのかについても研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
網羅的遺伝子発現解析やレクチンマーカーの選定に必要な物品・関連試薬等の購入に充当する予定額が次年度使用額となっている。精度の高い解析を行うため、試料の選定を慎重に進めている。高精度な試料が得られ次第、計画通り研究を進める。
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Research Products
(4 results)