2017 Fiscal Year Research-status Report
DNA複製異常による成人T細胞白血病発症機構の解明
Project/Area Number |
17K14988
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
水口 真理子 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40581541)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HTLV-1 / ATL / DNA複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA複製異常は細胞に遺伝子変異を蓄積させ、がん化へと導く。ヒトT細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1)の感染により引き起こされる成人T細胞白血病 (ATL)の場合も、数多くの遺伝子変異が白血病細胞に蓄積し発症するが、その機序は未だ不明である。HTLV-1がコードするトランスフォーミングタンパクTax1は、NF-κB経路を活性化し、様々な増殖因子の発現を誘導することで細胞のがん化に寄与すると考えられている。近年我々は、これまで細胞増殖に関わると考えられてきたTax1が、増殖期のT細胞においてNF-κBのコンポーネントであるRelAを介して増殖抑制およびアポトーシスを誘導することを報告した。Tax1により増殖抑制された細胞は、細胞周期がS期に集積し、異常なDNA含量を示した。本研究では、Tax1がいかにして増殖抑制およびアポトーシスを誘導するのか、その分子機序の解明を試みている。Tax1を発現させた増殖期ヒトT細胞株Kit 225にDNA複製ストレス関連分子であるAtaxia telangiectasia mutated (ATM)の阻害剤を作用させると、著しくアポトーシス分画が増加した。このことより、Tax1による増殖抑制は、複製ストレスが関与していることが示された。また、増殖期または休止期に誘導したKit 225細胞に野生型Tax1およびNF-κB活性化能を欠く変異体TaxM22、これまでATL発症の報告がないHTLV-2 Taxを発現させ、RNAシークエンスを行った。DNA複製および修復関連遺伝子に着目し、現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Tax1発現細胞におけるRelAのDNA結合領域を解析する予定であったが、所属先の変更等があり、解析まで至らなかった。現在、実験環境も整い、今後は速やかに実験に着手可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
増殖期Tax1発現細胞におけるRelAのDNA結合領域およびDNA複製開始領域を同定し、それらの領域がATL細胞における遺伝子変異配列に相当するか解析する。
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Causes of Carryover |
補助事業期間の初年度(平成29年度)に申請者所属先の変更が決定した。そのため平成29年度は、実験に使用する試薬類を異動先へ持ち出さずに済むように実験を計画し、物品の購入を控えながら実験を行った。平成30年度は、実験環境も整ったため、平成29年度計画の未遂行の実験と、平成30年度に計画している実験を同時に進め、予定期間内に研究目的達成を目指す。
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Research Products
(1 results)