2017 Fiscal Year Research-status Report
膠芽腫における機能性長鎖非翻訳RNAの探索および機能解析
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17K14995
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
勝島 啓佑 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (00754053)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腫瘍生物学 / 長鎖非翻訳RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞の形質を制御するエピゲノムの詳細な解析は、有効な膠芽腫の治療法を開発する上で重要となる。近年、遺伝子特異的にエピゲノムを誘導する分子として長鎖非翻訳RNA (lncRNA)の存在が明らかとなっている。lncRNAによる遺伝子発現制御は、細胞の分化、がん化、アポトーシスといった細胞機能において重要な役割を担っている。また、lncRNAの発現制御に関わるシグナルも多種多様であり、発がん初期から腫瘍形成過程における各ステージでlncRNAはダイナミックに発現を変動させ、がん細胞の形質を制御している可能性がある。がん細胞の形質変化は、治療抵抗性に大きく寄与することから、がん細胞の形質を制御するlncRNAは膠芽腫に対する新しい治療標的としての可能性が期待できる。本研究では脳腫瘍の自然発生マウスモデルを用い、膠芽腫形成に関わるlncRNAを包括的に探索し、膠芽腫に対する新規治療法としての可能性について明らかにすることを目的とする。 平成29年度は脳腫瘍自然発生マウスモデルを用いて、腫瘍形成の各過程におけるlncRNAの発現変動をマイクロアレイにて解析した。正常細胞におけるlncRNAの発現パターンと比較解析を行い、腫瘍細胞特異的に発現変動するlncRNAを複数同定した。さらに腫瘍細胞特異的に発現変動するlncRNAをヒト-マウス間において高い保存性を有するlncRNAに絞り、公共データベースを用いてヒト膠芽腫のlncRNA発現パターンと比較検討した結果、ヒト膠芽腫の悪性化と相関するlncRNAを複数同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は脳腫瘍自然発生マウスモデルを用いた解析から、膠芽腫の悪性化と相関するlncRNAを複数同定した。研究実施計画の成果が目標にほぼ達しているため、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度における解析から同定したlncRNAの発現を阻害する核酸を作製し、ヒト膠芽腫細胞株を用いて抗腫瘍効果を検証する。さらに脳腫瘍自然発生マウス個体内でlncRNAの発現を阻害させ、マウスの腫瘍形成能、悪性度の変化、腫瘍形成時期について詳細に解析し、lncRNA発現阻害による抗腫瘍効果を評価する。 以上の解析を通して、腫瘍形成過程におけるlncRNAの機能を個体レベルで明らかにし、膠芽腫に対する新規治療標的として提示する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は予定していた実験動物の種類と個体数を減らし解析を実施した為、実験動物の維持管理費、実験動物から各種細胞の単離を行うための物品費が次年度使用として生じた。そのため平成30年度は次年度使用の予算を使用し、前年度に予定していた実験動物の維持管理および実験動物から各種細胞の単離、細胞培養を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Development of nucleic acid therapeutics targeting long non-coding RNA TUG12018
Author(s)
Katsushima K, Natsume A, Ohka F, Deguchi S, Shinjo K, Shibata S, Miyata K, Kataoka K, Kondo Y
Organizer
Keystone Symposia meeting on: Noncoding RNAs: Form, Function, Physiology
Int'l Joint Research
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[Presentation] Targeting long non-coding RNA, TUG1, as an effective treatment in cancer2017
Author(s)
勝島啓佑, 夏目敦至, 大岡史治, 出口彰一, 新城恵子,柴田龍弘, 宮田完二郎, 片岡一則, 近藤豊
Organizer
第11回日本エピジェネィクス研究会
Invited
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