2018 Fiscal Year Research-status Report
Cancer metabolic reprogramming in human pancreatic cancer cells under nutrient-deprived conditions
Project/Area Number |
17K15000
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
小野寺 威文 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 研究員 (20733166)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵がん / 栄養飢餓 / がん代謝 / ペントースリン酸経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
活発に増殖するがん細胞の周辺環境は、脆弱な血管が乱雑に形成されるため血流不足に伴った低栄養や低酸素状態であることが特徴的である。そのため、がん細胞は正常細胞と異なった微小環境で生存するために代謝改変(代謝リプログラミング)を行い、がん微小環境に適応する。これまでに我々は、がんの代謝リプログラミング機構は創薬のターゲットとなり得ると考え、新規標的分子の探索を行ってきた。本研究では栄養飢餓(グルコースおよびアミノ酸欠乏)環境下においてペントースリン酸経路に関わるトランスケトラーゼ関連遺伝子に着目し、栄養飢餓環境におけるがん特異的代謝リプログラミング機構の解明を目的として研究を行なった。本年度は、昨年度に続きトランスケトラーゼ関連遺伝子の機能解析を行った。まず、トランスケトラーゼ関連遺伝子の酵素活性を調べるため、トランスケトラーゼ関連遺伝子の安定発現細胞株/ノックダウン細胞株の細胞ライセートを調整し、トランスケトラーゼ活性を測定したところ、栄養飢餓環境においてトランスケトラーゼ関連遺伝子安定発現細胞株はトランスケトラーゼ活性の上昇がみられ、一方で、トランスケトラーゼ関連遺伝子ノックダウン細胞株では、トランスケトラーゼの活性が低下した。以上により、トランスケトラーゼ関連遺伝子はトランスケトラーゼ活性を有していることが示唆された。さらに、詳細は酵素活性を測定するために、哺乳類細胞発現系におけるトランスケトラーゼ関連遺伝子の組換えタンパク質の精製を行っている。また、これまでは膵がん細胞株を用いた解析を行ってきたが、大腸がん細胞株においても栄養飢餓環境でトランスケトラーゼ関連遺伝子の発現量が増加することが分かってきた。したがって、トランスケトラーゼ関連遺伝子は様々ながん細胞において栄養飢餓環境に適応するための重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、栄養飢餓環境におけるトランスケトラーゼ関連遺伝子の機能解析を行うことができた。さらには、トランスケトラーゼ関連遺伝子産物の生化学的な機能解析も進み、詳細な機能解析のための準備も進んでいる。また、栄養飢餓環境におけるトランスケトラーゼ関連遺伝子の発現亢進は、膵がん細胞株のみならず大腸がん細胞株においても新たに確認された。これからは、大腸がん細胞株におけるトランスケトラーゼ関連遺伝子の機能解析を行うことも考慮する。このように新たな知見を得ることができ、H30年度の研究計画どおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
栄養飢餓環境におけるトランスケトラーゼ関連遺伝子の詳細な機能を明らかにするために、トランスケトラーゼ関連遺伝子産物の精製とトランスケトラーゼ活性の有無等について生化学的解析を中心に進める。続いて、がん細胞の増殖、悪性化、栄養ストレス耐性に関するトランスケトラーゼ関連遺伝子の寄与を明らかにする。また、トランスケトラーゼ関連遺伝子安定発現細胞株/ノックダウン細胞株の栄養環境および栄養飢餓環境におけるメタボローム解析を行い、ペントースリン酸経路を含む中心代謝とトランスケトラーゼ関連遺伝子との関係を明らかにする。さらには、トランスケトラーゼ関連遺伝子の造腫瘍性に関して動物実験も開始する予定である。今後の推進方策の中で、特にトランスケトラーゼ関連遺伝子産物の活性評価を行うことに注力する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していたキットや試薬の購入費が少なく済んだためである。この残額は次年度の物品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)