2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K15005
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
星野 大輔 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 副技幹・主任研究員 (30571434)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エクソソーム / 細胞外小胞 / 浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、細胞運動や細胞間相互作用等のがん悪性化に関与することが知られている、突起状の細胞膜構造であるフィロポディアから細胞外分泌顆粒(Extracellular Vesicle: EV)が分泌されることを見出した。さらに、プロテオミクス解析を行い、EV によるフィロポディア形成制御タンパク質としてエンドグリンを同定した。本研究では、がん細胞が分泌するEV 表面エンドグリンによるがん悪性化の分子メカニズムを解明することを目的とする。 平成29年度は、EV表面エンドグリンによるがん悪性化機構の分子メカニズムを明らかにするため、エンドグリン安定発現抑制株(shENG)を作成し、マウス生体内でのがん悪性化への寄与を評価した。ヌードマウス皮下に移植したshENG はコントロール細胞に比べ腫瘍の大きさが低下していた。安楽死後に原発層を回収し、凍結切片を作製し、アポトーシスや血管新生のマーカー分子で免疫染色したところ、アポトーシスに変化はなかったが、血管新生がshENG で優位に低下していた。このことから、がん細胞が分泌するエンドグリンが血管内皮細胞に影響を与えることが予想されたが、がん細胞と血管内皮細胞の関係を調べるに至っていないので、平成30年度にこれらの関係性を明らかにしていく予定である。 また、平成30年度に予定している Reverse Phase Protein Array (RPPA) 解析に用いる抗体の査定を行い、がんで活性化していることが知られている複数のシグナル経路を網羅的に調べる系を立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、EV表面エンドグリンによるがん悪性化機構の分子メカニズムを明らかにするため、(1) エンドグリン安定発現抑制株(shENG)を作成し、マウス生体内でのがん悪性化への寄与を評価する。続いて、(2)がん細胞由来EV表面エンドグリンが正常細胞に及ぼす影響を評価し、最後に、(3)EVを受容した細胞内で亢進されるシグナル伝達経路をRPPA(Reverse Phase Protein Array)解析によって網羅的に同定し、数理モデルで可視化する。以上の研究計画を遂行し、エンドグリンによるがん悪性化獲得の分子メカニズムを解明することを目的としています。 平成29年度は (1) を予定通り行い、(3) で使用する RPPA のセットアップが完了しています。 以上のことから、おおむね順調に進行していると評価しました。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、研究計画書に沿って行なっていく予定です。 具体的には、(1) エンドグリン安定発現抑制株(shENG)を作成し、マウス生体内でのがん悪性化への寄与を評価する。続いて、(2)がん細胞由来EV表面エンドグリンが正常細胞に及ぼす影響を評価し、最後に、(3)EVを受容した細胞内で亢進されるシグナル伝達経路をRPPA(Reverse Phase Protein Array)解析によって網羅的に同定し、数理モデルで可視化する。 (1) は平成29年度に行いましたので、平成30年度は (2) と (3) を行なっていきます。(2) はがん細胞と血管内皮細胞の関係および、がん細胞と線維芽細胞の関係を明らかにしていく予定です。
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Causes of Carryover |
平成29年度に予定していたがん細胞と正常細胞の関係を調べることができませんでした。 正常細胞(血管内皮細胞と線維芽細胞)培養 kit は高価であるため、繰り越した助成金を用いることを予定しております。 また、平成30年度分として請求した助成金は当初の予定通り平成30年度に行う研究に使用することを予定しています。
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