2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of paclitaxel derivatives with intratumor selective expression of therapeutic effect
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17K15019
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
友田 敬士郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (70516400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アミノリシス / パクリタキセル / プロドラッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤のパクリタキセル(Ptx)をポリエチレングリコール-ポリグルタミン酸共重合体(PEG-b-PGlu)と結合させ、可溶化させることで副作用の軽減及びEnhanced Permeability and Retention Effect (EPR効果)による腫瘍集積性を向上させることを目的としたパクリタキセルのプロドラッグ化を行った。PtxとPEG-b-PGlu間をアセタールリンカーで結合させるため、必要な官能基の導入を行った。すでに臨床試験第三相にまで進んでいる先行研究のOPAXIO(PtxとPGluのエステル結合体)と比較可能とするため、グルタミン酸側鎖にエチレンジアミンを導入する予定であった。しかしながら、様々な実験条件を試したものの、側鎖に対して最大で20%程度しか導入することができなかった。グルタミン酸側鎖は反応液中でα-ヘリックス構造を取り安定化してしまうため、フレキシビリティが下がりアミンとの反応率が低下したためと考えられる。このため、側鎖部位をグルタミン酸ではなくアスパラギン酸に変更したところ(PEG-b-PAsp)、側鎖へのアミン導入率100%を達成した。しかし、結合させたアミンがエチレンジアミンでは、分子鎖内に回転軸が存在せずフレキシビリティが低く、次のステップであるカルボキシピランの結合も導入率が低くなると懸念される。そのため、導入するアミンをエチレンジアミンから1,2-bis(2-aminoethoxy)ethaneに変更して導入を行ったところ、同様に側鎖への導入率100%を達成することができた。次のステップとしてカルボキシピランの導入を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度時点でパクリタキセルとPEG-b-PGluとのアセタールリンカーを介した結合体作成及びミセル化評価まで終了している予定であったが、合成第二段階でのアミノ基導入において想定以上に時間を消費してしまったため、進捗状況に遅れが生じてしまった。しかし、側鎖をグルタミン酸からアスパラギン酸に変更したことでアミノ基導入率100%を達成した点、あと2ステップでプロドラッグ化が可能である点、今後の反応では縮合剤を用いるので反応も早いと考えられる点から、今後はスピードアップできるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
残り2ステップの合成反応を行い、パクリタキセル誘導体の作成を完了させる。 薄膜形成法を用いて高分子ミセルを作成し、パクリタキセル内包率、粒子径などの物性評価を行う。中性pH及び酸性pH下において薬物放出試験を行い、pH応答性を具備しているかどうかの確認を行う。この際、pH応答性が鈍い可能性があるが、その場合はアセタール構造の変更(環状アセタールから、より酸応答性の高い鎖状アセタール構造へ)を行う。 最適なpH応答性を具備するパクリタキセル誘導体を作成出来次第、細胞実験、動物実験へと進む予定である。
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Causes of Carryover |
パクリタキセル誘導体を合成するため、初期に必要な試薬及び評価用物品を購入したが、合成条件の探索に想定以上に時間がかかってしまったために平成29年度での執行額は低くなってしまった。 平成30年度は、昨年度確立した合成条件をもとにin vitro、in vivo実験用サンプルを大量合成するため、試薬の購入額が大幅に増加すると予想される。
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