2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of efficacy for targeting enzymes of mitochondrial one-carbon metabolism for cancer treatment.
Project/Area Number |
17K15021
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西村 建徳 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (10624869)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 葉酸代謝酵素 / ミトコンドリア / 腫瘍原生能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではがん治療においてミトコンドリア内葉酸代謝酵素を標的とすることが有効であるかについて検討を行った。ミトコンドリア内葉酸代謝酵素の中でもいまだに機能が詳細に調べられていなかったMTHFD1LとMTHFD2という二つの酵素について本研究では中心的に解析を行った。その結果、両酵素ともノックダウンを行うと、in vitro, in vivoどちらの系においても細胞増殖の抑制のみならず、腫瘍原生能の低下をも誘引することを明らかにした。これらの現象のメカニズムを明らかにするため、我々はトランスクリトーム解析とメタボローム解析を行い、統合的な解析を行った。その結果、ノックダウンを行うと葉酸代謝経路から核酸合成経路に一炭素が渡されなくなり、特にプリン核酸合成が顕著に抑制されることがわかった。このプリン核酸合成の阻害が腫瘍増殖の抑制につながっていることがわかった。プリン核酸合成が阻害されると合成経路の中間産物が蓄積するが、中でも我々はAICARがノックダウン細胞で顕著に蓄積することを検出した。そして、この副次的に蓄積するAICARが腫瘍原生能の低下を惹起していることがわかった。 これらの結果から、患者の腫瘍においてMTHFD1LとMTHFD2を阻害することができれば、少なくとも腫瘍の増大を阻止できるだけでなく、残存がん細胞の腫瘍原生能を低下させることで再発や転移を抑制できることが示唆された。両酵素を特異的に標的とする低分子化合物の探索が今後望まれる。
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Research Products
(6 results)