2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K15026
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小野寺 貴恵 (山内貴恵) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 特任研究員 (20535736)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | APOBEC3G / 阻害剤 / 抗がん剤 / 放射線増感 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療において、物理的精度の向上や低侵襲性という面からも放射線治療の増加が見込まれる一方、放射線治療の増感剤としては臨床に定着したものはほとんどない。これまでに当研究室で行われた放射線増感標的の網羅的スクリーニングにより、ノックダウンにより放射線増感を示す増感標的遺伝子の候補として、抗HIV-1因子として知られるAPOBEC3Gが見出された。また、APOBEC3GはDNA二本鎖切断修復とも関連することが近年明らかになりつつあり、放射線増感の新たな標的分子候補となりうると考えられる。 本研究では、標的候補であるAPOBEC3Gノックダウン下における放射線増感の検証と増感機序の解析を行うともに、APOBEC3Gを阻害する低分子化合物探索のためのスクリーニング系の確立を行った。siRNAを用いてAPOBEC3Gノックダウンを行うことで、肺がん細胞株のA549細胞や悪性黒色腫細胞株のA375細胞などを含む特定のがん細胞株においてγ線感受性の亢進が認められ、APOBEC3Gの機能阻害が確かに放射線増感作用を示すことを明らかにした。また、APOBEC3Gノックダウン下でγ線照射を行った際の細胞周期解析においてG2/M arrestの誘導が確認されたことから、APOBEC3GがDNA二本鎖切断修復に関与していることが示唆された。次に、APOBEC3Gを阻害する低分子化合物探索のためのスクリーニング系の構築を行った。スクリーニングで用いるAPOBEC3Gタンパク質は大腸菌を用いた発現系により調整した。今後は、構築したスクリーニング系を用いてAPOBEC3G阻害剤の探索を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
APOBEC3Gノックダウン下における放射線増感の検証と増感機序の解析を行うともに、APOBEC3Gを阻害する低分子化合物探索のためのスクリーニング系の確立をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したスクリーニング系を用いてAPOBEC3G阻害剤のスクリーニングを行う。得られた候補化合物についてその放射線増感効果を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の見積もりよりも使用試薬のコストが抑えられたため次年度使用額が生じた。次年度に新たに必要な試薬および消耗品を購入する経費に補填する。
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