2017 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害薬の効果予測因子としての腸内フローラの研究
Project/Area Number |
17K15028
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大和田 有紀 福島県立医科大学, 医学部, 病院助手 (20791502)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニボルマブ / 免疫チェックポイント阻害薬 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
Nivolumabの効果予測因子の1つとして,腸内細菌叢が注目されており,2017年には菌種の多様性が効果に影響している可能性や,抗生剤投与下での免疫チェックポイント阻害薬の効果の減弱に寄与している可能性などが報告された.これらは悪性黒色腫についての報告が主であり,非小細胞肺癌に関する報告はほとんどない状況である.我々は進行再発非小細胞肺癌症例に対し,現在の肺癌診療ガイドラインに則り,2次治療以降でNivolumabを投与している.Nivolumab投与症例について,投与前および投与開始後4週毎のうがい液と便を採取し,それぞれ口腔内細菌叢・腸内細菌叢として解析を開始した.平成29年度は20症例のNivolumab投与症例がおりそのうち全例について,投与前のうがい液・便を採取している.投与開始後は,投与期間に応じて検体採取回数は異なり,投与開始後0回~10数回の採取を行っており,投与継続中の症例については現在も検体採取を継続中である.効果判定についてはRECISTを用いて行い,PDの判定で投与を終了し,検体採取も合わせて終了としている.腸内細菌叢については次世代シーケンサーでの解析を開始しているが,現段階ではまだごく1部の結果しか得られていない.腸内細菌叢の遺伝子解析結果が得られたら,主成分分析やクラスター解析などを行い細菌叢の特徴を検討する.合わせて,症例に関する身体情報や検査・画像情報を電子カルテより収集し,腸内細菌叢の効果判定や予後との関連性について今後解析を加えていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者選択においては再発・進行性肺癌または転移性肺腫瘍を有する患者でNivolumabあるいはその他の免疫チェックポイント阻害薬を投与予定の患者,投与中の患者計20例を集積した.患者情報の収集については,問診と電子カルテの情報から性別,年齢,身長,体重,BMI,体表面積,食習慣,排便周期,う歯の有無,皮膚疾患の有無,既往歴,喫煙歴,飲酒歴,肺癌の組織型,進行度,手術日,再発の有無,再発日,化学療法・放射線療法・免疫療法の有無,治療効果判定,無増悪生存期間,全生存期間などの情報を収集している. 検体採取について,免疫チェックポイント阻害薬投与前に,便・口腔内うがい液,血液を採取しておく.それぞれ投与前・投与開始後1・2・3ヶ月・Progression Disease:PD判定時にそれぞれ採取している. 血液の採取に関しては初回投与前は行っているが,Nivolumab投与後の採取が全例でできているわけではない.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き腸内・口腔内の細菌叢検索を行う.次世代シークエンサーを用いて便中・口腔内の細菌叢のスペクトラムを解析する.細菌叢の解析については微生物学講座の協力を得る.さらに腫瘍および血中Tリンパ球の変化について,免疫チェックポイント阻害薬投与前後での血中のTリンパ球におけるPD-1発現の変化や,Tリンパ球活性の変化を解析する.また,初回手術時と再発時の腫瘍浸潤Tリンパ球の多寡についても評価する.次世代シーケンサーで解析後は免疫チェックポイント阻害薬の治療効果と上記の解析結果を統計学的に分析し,免疫チェックポイント阻害薬の効果予測因子を探る.これらの結果を踏まえ,解析で抽出した腸内細菌叢スペクトラムの状態とNivolumabの治療効果との関連を前向きに検討する. ≪前向き試験の概要≫①Nivolumab治療前に各症例の便を採取し腸内細菌叢を検索し評価する.②腸内細菌叢スペクトラムの発現状況で症例群を複数設定し,Nivolumabが有効と考えられる菌叢を有する群とNivolumabが有効と考えられる菌叢を有さない群に分け,このうち有効菌叢を有さない群を,○生活習慣の改善および特定健康食品(ヨーグルトや乳酸菌製剤など)摂取をする群○生活習慣の改善および特定健康食品(ヨーグルトや乳酸菌製剤など)摂取をしない群とに分類し,各群10例とし計30例を想定する. 生活習慣の改善や特定健康食品の内容については1.で得られた結果に基づいて決定するが,1例として乳酸菌の摂取や食物線維の摂取,オリゴ糖の摂取,特定乳酸菌を含むヨーグルトの摂取を検討している.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:年度内に予定した研究は遂行したが,効率的な執行に努めたことにより残金が生じた. 使用計画:残金は,次年度の研究を充実させるために使用する.また,更なる研究の推進のため、解析の費用や実験用消耗品などの物品費として使用予定である.
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[Journal Article] 非小細胞肺癌における免疫チェックポイント阻害薬の新たなバイオマーカー抽出の可能性.2017
Author(s)
大和田有紀, 井上卓哉, 渡邊 譲, 福原光朗, 山浦 匠, 武藤哲史, 松村勇輝, 長谷川剛生, 田中大輔, 菅野 亮, 伊藤恵美, 七宮英晃, 今井順一, 磯貝隆夫, 渡辺慎哉, 鈴木弘行.
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Journal Title
癌と化学療法
Volume: 44
Pages: 763~766
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[Presentation] Correlation between mutation burden of tumor and immunological/clinical parameters in considering biomarkers of immune checkpoint inhibitors for nonsmall cell lung cancer (NSCLC).2017
Author(s)
Yuki Owada, Satoshi Muto, Hironori Takagi, Takuya Inoue, Yuzuru Watanabe, Takumi Yamaura, Mitsuro Fukuhara, Naoyuki Okabe, Yuki Matsumura, Takeo Hasegawa, Jun Ohsugi, Daisuke Tanaka, Emi Ito, Hideaki Nanamiya, junichi-imai, Takao Isogai, Shinya Watanabe, Hiroyuki Suzuki.
Organizer
2017 ASCO Annual Meeting
Int'l Joint Research
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[Presentation] 非小細胞肺癌における分子免疫プロファイル解析~免疫チェックポイント阻害薬の新たなバイオマーカー抽出の可能性~.2017
Author(s)
大和田有紀, 井上卓哉, 渡邊 譲, 福原光朗, 山浦 匠, 武藤哲史, 松村勇輝, 長谷川剛生, 樋口光徳, 田中大輔, 菅野 亮, 伊藤恵美, 七宮英明, 今井順一, 磯貝隆夫, 渡辺慎哉, 鈴木弘行.
Organizer
第117回日本外科学会定期学術集会
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[Presentation] 非小細胞肺癌における免疫チェックポイント阻害薬の新たなバイオマーカー抽出の可能性.2017
Author(s)
大和田有紀, 井上卓哉, 福原光朗, 山浦 匠, 武藤哲史, 松村勇輝, 長谷川剛生, 田中大輔, 菅野 亮, 伊藤恵美, 七宮英晃, 今井順一, 磯貝隆夫, 渡辺慎哉, 鈴木弘行.
Organizer
第34回日本呼吸器外科学会総会
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