2017 Fiscal Year Research-status Report
CRISPRスクリーニングによるがん微小環境下での浸潤関連遺伝子の網羅的解析
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17K15045
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中出 翔太 広島大学, 理学研究科, 研究員 (70795509)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / CRISPR-Cas9 / スクリーニング / がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞の増殖や浸潤は、がん細胞への蓄積される遺伝子変異とその周囲を取り囲む微小環境との相互作用によって促進されるが、これらを詳細に解析する手法は極めて限定的だった。そこで本研究では、ゲノム編集技術である CRISPR-Cas9 を用いた全ゲノムスケールのノックアウトスクリーニングによって、全ての遺伝子にくまなく変異が導入されたがん培養細胞のライブラリーを作製後、様々な環境下で細胞浸潤アッセイを実施することで、増殖や転移能の上昇に関連した遺伝子変異を網羅的に同定する。 本年度は、ノックアウトスクリーニングの基盤整備のため、培養細胞における高効率な遺伝子改変法の効率化の確立を進めた。本研究に利用する乳がん細胞株(MCF7, MDA-MB-231)は、現状でトランスフェクション効率並びにノックイン効率が芳しくなく、スクリーニングのための細胞株を効率的に樹立を実現する必要があった。そこで、CRISPR-Cas9のsgRNAに対して、RNA 結合タンパク質である MS2 コートタンパク質の認識配列をループに組み込むことで、MS2 タンパク質と融合した修復遺伝子が集積することを利用し、二本鎖切断(DSB)末端周辺にDSBの修復遺伝子を効果的に局在化させた。これにより、ノックインを含めた様々な遺伝子改変効率を数倍上昇させることを可能にした。また、薬剤選抜を介さず3箇所の同時ノックイン細胞株を効率的に樹立した。これらの成果は、がん細胞のスクリーニングに先立つ遺伝子操作をより複雑かつ高効率に組み上げることを可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これらの研究成果について、神戸で開催されたConBio2017や、アメリカで開催されたKeystone symposiaで既に発表を行なっている。さらに、研究概要に記載した培養細胞におけるノックインの効率化についての研究成果を、単独筆頭著者としてNature姉妹誌に投稿中である。これらの成果は、次年度の研究における基盤となるものであり、現時点において研究が順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に確立した技術基盤を更に拡大すると共に、がん細胞でのスクリーニングを展開していく予定である。具体的には遺伝子ノックインの更なる効率化に加えて、レンチウィルスベクターに搭載したsgRNAライブラリーのがん細胞への適用、並びにスクリーニングを実施する。これによって、がん浸潤もしくは転移に関与する遺伝子の網羅的な同定を行うと同時に、遺伝子変異と細胞外刺激との相互作用がもたらす浸潤能力の変化を解析する。これらの実験に関しては、スクリーニングの適用から遺伝子の同定までの全行程が数ヶ月で完了するため、十分に余裕を持って研究課題を達成することが可能である。
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Causes of Carryover |
当該年度における細胞培養試薬の節約が功を奏し、これらの購入を約一万円分削減することができた。また、細胞培養試薬は消費期限が短いため、前もって購入するよりも、これを節約して次年度のウィルスベクターやDNA解析用の試薬の購入に当てることで効率的に資金運用する計画である。
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Research Products
(5 results)