2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K15046
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川又 理樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (80602549)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子改変マウス / 肝細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は肝細胞移植時にある特定の肝細胞のみが障害を受けた肝臓に生着するという仮説のもとに遂行するもので、特に特定の肝細胞とはTbx3陽性・二倍体肝細胞を示している。この実験を進めるにあたってTbx3レポーターマウスの作製は必須であり、現在最優先内容として研究を進めている。 Tbx3遺伝子領域へのVenus(もしくはtdTomato)のノックイン(KI)はCRISPR/Cas9システムを用いて行い、12ラインのTbx3-Venus (tdTomato) ES cell lineの取得に成功した。更にブラストシストへのインジェクションによりキメラマウスの作製まで成功した。しかしながらキメラマウスからはヘテロマウスが生まれず、現在新たな方法でレポーターマウスの作製を行なっている。その方法の一つとして、1細胞期受精卵へのCRISPR/Cas9インジェクションによる直接KIマウス作製法も開始した。KIするVenusカセットは約700 bpと長く、相同組み換え効率が極めて低いため、一般的にこの手法でのKIマウス取得は難しいとされている。様々な条件検討を元にKIマウスが本研究で作製できれば、世界的にも大きなインパクトを与えるのみならず、他の遺伝子カセットのKIマウスを安定的・安価・短期間で作製することが今後可能となるため、実験遂行の意義は極めて大きい。 ES細胞培地についても今までは2iLを用いていたが、その中に含まれる高濃度のMEK inhibitorがES細胞の質を低下させており、低濃度に設定することで改善されたという報告がなされた。そこで改善2iLに加え、スタンダードなLIF+MEF培養条件でのES細胞培養、キメラマウス作製を現在行っており、マウス作製に最も適したES細胞培養条件も特定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Tbx3の全長cordingタンパク質とVenusがP2A配列を介して連動して発現するシステム構築のためのTbx3-Venus KI プラスミドの作製し、KIを高効率で成功させるためのCRISPR/Cas9プラスミドも作製した。両プラスミドを2iL培養下のマウスES細胞にトランスフェクションし、Venus陽性コロニーをピックアップ・継代し、ジェノタイピングによりKIクローンを12ライン作製することに成功した。 2ラインのES細胞を用い、ブラストシストへのマイクロインジェクションによりキメラマウスの作製に成功したが、その後の掛け合わせにおいてヘテロマウスを産出させることができなかった。その一つの理由として、CRISPRでのKIの際に3' UTR領域の約20 bpを欠損させるようデザインしており、これがTbx3の発現・機能の低下に繋がりES細胞への悪影響を与えていた可能性があるため、完全相同領域を有するKIプラスミドを作製し直し、現在KI ESクローンの取得を行なっている。 一方、2iL培地はES細胞の質を低下させる報告が近年発表され、これがジャームライントランスミッション阻害の原因であることが十分考えられた。そこで、通常のLIF+MEF培養のES細胞でのKIクローンの取得、キメラマウスの作製を現在進めている。更に、ESCRISPR/Cas9の1細胞期受精卵への注入による直接KI作製法も試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
改良したKIマウス作製方法によりTbx3+/-マウスが作製された後は、予定通り申請内容の方針にしたがって実験を遂行する。まずはVenus発言が予想する中心静脈周囲の特定の細胞で観察されるかを確認後、sortingにより陽性細胞を回収し移植実験により肝臓への生着能を検証する。これが確認できればsingle cell RNA seq等の解析によりTbx3陽性細胞のみで発現上昇・低下している遺伝子候補を探索し、in vitro, in vivo実験で移植能に関与する遺伝子を特定する。 その後、実際にiHep細胞においてこれらの遺伝子を発現上昇、もしくは低下させることで、これまで肝臓への生着能が低いとされてきたiHep細胞の生着能の劇的な改善を試みる。
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Causes of Carryover |
今年度における実験は主に遺伝子改変マウス作製を行なっており、その後に展開される実験において多くの研究費が必要とな理、そのバランスにより生じた。
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