2019 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-omics database for Alzheimer's disease
Project/Area Number |
17K15049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊地 正隆 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (90722538)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / データベース / 遺伝子ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度はAD患者死後脳データを用いた分子パスウェイの推定を行った。計71名の様々なBraak NFTステージの患者死後脳から異なる3つの脳部位(嗅内皮質、側頭皮質、前頭皮質)を取得し、エクソンアレイ法による網羅的な遺伝子発現データを用いた遺伝子ネットワーク解析を行った。その結果、嗅内皮質において多くの遺伝子と相互作用するハブ遺伝子としてRAC1遺伝子を同定した。RAC1遺伝子は特に記憶を司る嗅内皮質においてBraak NFTステージの進行とともに発現が低下し、その傾向は公共データセットでも再現された。RAC1遺伝子が神経変性を誘導するのかどうかを調べるために、ショウジョウバエにおいてRac1遺伝子の発現を低下させた結果、加齢依存的に神経変性が生じることが明らかになった。このことからRAC1遺伝子は神経変性の原因となり得ることが考えられる。RAC1遺伝子の発現低下を誘導する因子としてマイクロRNAに注目し、網羅的な発現解析を行った。RAC1遺伝子の発現と逆相関するマイクロRNAを探索した結果、hsa-miR-101-3pというマイクロRNAはRAC1遺伝子の配列と部分的に相補的な配列を有し、また嗅内皮質において最も強くRAC1遺伝子と負に相関していた。hsa-miR-101-3pが実際にRAC1遺伝子の発現を抑制するのかどうかを調べるためにヒト株化神経細胞においてhsa-miR-101-3pを過剰発現させた結果、コントロールと比べて統計的有意にRAC1遺伝子の発現が低下することがわかった。このことから嗅内皮質ではBraakNFTステージの進行とともにhsa-miR-101-3pの発現が増加し、それによってRAC1遺伝子の発現が低下し神経変性が誘導されるという新たな発症機序の可能性を見出した。
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[Presentation] ヒト死後脳におけるAPP・APOEの遺伝子発現解析2019
Author(s)
LIU Lixin,宮下哲典,村上涼太,ZHU Bin,原範和,菊地正隆,月江珠緒,樋口陽,春日健作,中谷明弘,赤津裕康,柿田明美,村山繁雄,池内健
Organizer
日本認知症学会学術集会
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[Presentation] 日本人におけるAPOEのコモン・レアバリアント解析2019
Author(s)
宮下哲典,原範和,春日健作,LIU Lixin,樋口陽,ZHU Bin,月江珠緒,石黒敬信,村上涼太,菊地正隆,中谷明弘,尾崎浩一,新飯田俊平,赤澤宏平,桑野良三,桑野良三,岩坪威,岩坪威,池内健
Organizer
日本認知症学会学術集会
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