2021 Fiscal Year Research-status Report
鳥類群集の長期変化傾向:全国探鳥会記録と階層ベイズモデルによる推定
Project/Area Number |
17K15057
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
片山 直樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (10631054)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生物多様性保全 / 鳥類 / 個体数トレンド / TRIM / PGLS |
Outline of Annual Research Achievements |
全国各地の野鳥の会から公表されている支部報を用いて、探鳥会記録の電子データ化を進めた。観察された種のリストおよび調査努力量としての観察人数のデータを可能な限り記録した。入力作業は、8割ほど完成したものの、いまだ継続中である。来年度には解析に着手したい。 一方、モニタリングサイトサイト1000の鳥類データを用いた解析は、着実に進行した。森林草原サイトと里地サイトの両方のデータをもとに、調査手法が統一されている2009-2020年の個体数データを用いて、個体数トレンドを推定した。推定にはTRIM(Trends and Indice for Monitoring data)を用いて、合計300個体以上が観察された47種を対象として、トレンドを推定した。そして、推定された種ごとの年変化率を目的変数し、各種の生活史形質を説明変数としたPGLS(phylogenetic generalized least squares)を行うことで、種ごとの増減の違いを説明する要因を調べた、その結果、種ごとの年変化率を最もよく説明したのは「生息地グループ」であった。具体的には、森林性グループ(21種)では個体数トレンドが安定していた一方で、里山性グループ(19種)と開放地性グループ(7種)では、平均して年1%以上のペースで個体数が減少していることが示唆された。 さらに、調査地選択のバイアスが与える影響も調べた。特に里地サイトでは、何らかの里山保全活動が行われているサイトが多い。そこで保全活動を行っているサイト・行っていないサイトで里山性グループの個体数トレンドを比較した。その結果、保全活動を行うサイトでは個体数トレンドが安定している一方、行っていないサイトでは平均して年2%以上のペースで個体数が減少していることが示唆された。現在、論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
探鳥会記録のデータ入力も進めながら、モニタリングサイト1000データの活用も並行して進めたことで、上手くリスクマネジメントを取りながら研究を進展させることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはモニタリングサイト1000の結果を論文として公表することに注力する。その後、探鳥会記録のデータ入力を完成させ、解析に着手したい。そうすることで、森林~里地から都市部にかけて、幅広い環境での鳥類トレンドを推定することができ、日本全体のトレンド推定に貢献するかもしれない。
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Causes of Carryover |
コロナの影響もあり、野鳥の会との打ち合わせはほとんどできていない。出張経費が減っている。一方で、データ入力にはさらなる人件費が必要となるため、次年度使用予定である。
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Research Products
(5 results)