2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the mechanism of nascent polypeptide-induced translation abortion.
Project/Area Number |
17K15062
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
茶谷 悠平 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (30794383)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リボソーム / 翻訳 / タンパク質合成 / 遺伝子発現 / 新生ポリペプチド鎖 / tRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、負電荷アミノ酸を連続的に翻訳することでリボソームが不安定化し、翻訳が途上終結するIRD(Intrinsic Ribosome Destabilization)現象の分子メカニズムを解明することを目的とする。目的達成のため、1)超低温電子顕微鏡観察による構造解析、2)遺伝学的アプローチの二方面から研究を遂行した。1)については、一年度目で電子顕微鏡観察用のサンプル調整に解決困難な問題があることが判明したため、最終年度では特に2)にフォーカスした実験を推進した。その結果IRDによる翻訳途上終結は、負電荷アミノ酸モチーフに先んじて翻訳されていた新生ポリペプチド鎖それ自身によって抑制されることを見出した。さらに解析を進めたところ、新生ポリペプチド鎖による翻訳複合体の安定化は、mRNA - tRNA間のコドン - アンチコドン相互作用を介して発生しており、翻訳途上のリボソーム複合体にのみ含まれるmRNA / tRNA / 新生ポリペプチド鎖の三者が擬似的にサブユニット間ブリッジとして機能し、無用な翻訳途上終結の予防に寄与していることを見出した。一方でIRDはmRNA - tRNA間のコドンアンチコドン相互作用を破断することで、翻訳途上のリボソーム複合体を不安定化させている可能性が強く示唆された。以上の結果は、リボソームが開始コドンから終止コドンまでを連続的に翻訳し、その最終産物の品質を保証する機構が合成産物自身である新生ポリペプチド鎖そのものに備わっていたという革新的概念だと考えられる。
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