2017 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーによるRNA分解の分子機構と生理的意義の解明
Project/Area Number |
17K15063
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
牧野 支保 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (70791458)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オートファジー / RNA分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは自己の細胞内成分を液胞/リソソームに輸送し分解する機構であり、真核生物で高度に保存されている。オートファジーはタンパク質の分解機構として理解されてきたが、最近所属研究室ではオートファジーによるRNA分解とその責任酵素が液胞内RNase, Rny1であることを見出している。オートファジーの分解の標的となるRNAやその生理機能を明らかにするため、初年度の本年はオートファジーによる分解の標的となるRNAをRNA-seqにより定量的かつ網羅的に解析を行った。得られた成果は以下の通りである。1)オートファジー誘導下で液胞にRNAが蓄積する条件、及びRNAが蓄積した液胞の単離条件の最適化を行った。2)Rny1欠損株を用いて、オートファジー誘導下で液胞に蓄積するRNAとその量をRNA-seqにより明らかにした。オートファジー依存的に分解される300個以上のmRNAを同定した。3)mRNA以外のその他のnon-coding RNAには二次構造や修飾が含まれるため、それらの影響を排除したライブラリー作製の条件検討を進めている。 オートファジーによって特異的なRNAが分解されることが明らかになり、今後その詳細な機構について解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでオートファジーによるRNA分解の選択性については全く理解されてこなかったが、特異的なRNAがオートファジーによって分解されることを発見した。RNA-seqの結果をもとに、オートファジーの標的となるRNAの配列解析やそのRNAと相互作用する因子の同定と、それらの欠損株を用いた解析を行っている。Non-coding RNAのRNA-seqについては脱修飾酵素の精製を終えており、ライブラリー作製の準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は初年度に同定したオートファジーの標的となるRNAについて、その基質となるRNAの特徴を明らかにする。具体的には、1)オートファジーによる分解の選択性に必要なRNA中の領域を特定する。さらに、2)既存のオートファジーの選択性を与えるレセプターとして知られている因子との結合を生化学的に解析する。3)基質RNAに結合するタンパク質を同定し、オートファジー因子との結合様式を調べる。特異性を生み出す分子機構の詳細を明らかにし、特異的なRNAがオートファジーによって分解される生理的条件や意義を探る。 オートファジーの基質となるRNAが進化的に保存されている場合、哺乳類細胞の実験系に応用・発展させ、RNA分解の基質特異性と生理機能の普遍性を検証する。
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