2018 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of TRF2-dependent recruitment of ORC in the telomere homeostasis: analysis by generation and characterization of the separation-of-function mutants
Project/Area Number |
17K15065
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 和真 九州大学, 薬学研究院, 助教 (80715392)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | DNA複製 / テロメア / ORC / TRF2 / 染色体安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物のゲノム複製は、複製開始点制御タンパク質ORCの染色体結合に依存して複製開始前複合体(pre-RC)が形成されることにより始まる。我々は、ORCとテロメア結合/保護因子TRF2が協調して、テロメアにpre-RCを形成する仕組みを解析してきた。本研究では、TRF2-ORC結合様式を詳細に解析し、その結合を特異的に欠損したTRF2変異体を創出し、ゲノム編集技術によってこの変異体置換型ヒト培養細胞株を樹立した。最終年度には、以下の表現型解析により、TRF2依存的ORCリクルートの阻害がテロメア恒常性・染色体安定性におよぼす影響を明らかにした。 1.テロメアへのORC1結合量をChIP-qPCR法により評価した。その結果、TRF2変異体置換株においてORC1結合量がTRF2野生型置換株に比べて減少しており、TRF2-ORC1タンパク質間結合がテロメアへのORC1リクルートに重要であることが示された。 2.上記置換株のテロメア長を測定した。その結果、ORC1リクルート阻害によるテロメア長への影響は認められなかった。 3.上記置換株を複製ストレス誘導剤ヒドロキシウレアで処理し、テロメア配列を含む微小核の出現頻度を解析した。その結果、野生型置換株に比べてTRF2変異体置換株での出現頻度が有意に上昇していた。これは、テロメアのORC結合が複製ストレス下でのテロメアの堅牢な複製と染色体安定性に寄与するという仮説に一致する。
また、本研究では、過剰発現によりTRF2-ORC1結合を競合的に阻害できるORC1フラグメントも作製した。これは、ゲノムワイドな複製活性を阻害しないことが示唆されたので、テロメアのORC結合を特異的に阻害することが期待できる。TRF2変異体を用いた研究の成果を相補することで、テロメア維持機構とその生物学的意義のさらなる解明につながると考えている。
|