2018 Fiscal Year Research-status Report
新規の活性化機序のリン脂質スクランブラーゼの同定と機能解析
Project/Area Number |
17K15079
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
藤井 俊裕 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (30580104)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リン脂質スクランブラーゼ / ホスファチジルセリン / P2X7 / P2Xr7 / BzATP |
Outline of Annual Research Achievements |
LPSで刺激を受けたマクロファージは、ATPまたは3'-O-(4-Benzoylbenzoyl)adenosine 5'-triphosphoric acid (BzATP) により、ホスファチジルセリン(PS)を細胞膜外葉へ暴露させるが、その分子機序も生理的意義も十分に解析されていない。申請者は、BzATP による PS 暴露が、現在までに同定されているリン脂質スクランブラーゼとは異なる活性化機序で働く分子が関わっている実験結果を得た。 そこで本研究は、この未知のリン脂質スクランブラーゼの同定と活性化機序を含む機能解析と生理的意味を明らかにすることを目的としている。 平成29年度は、この未知のリン脂質スクランブラーゼを同定するために、スクリーニングに適した細胞の樹立をした。具体的にはマウスリンパ腫細胞株WR19L細胞株の中でBzATPの感受性が強い細胞をサブクローニングを行った。さらにこのBzATPが高感度のWR19L細胞から他のスクランブラーゼの可能性を排除するためにカルシウム依存性リン脂質スクランブラーゼであるTMEM16Fの遺伝子を欠損させた細胞を樹立した。 平成30年度は、このWR19L細胞からCRISPR/Cas9 GeCKOライブラリーで様々な遺伝子を欠損させた細胞群からBzATPでPS暴露が起きない細胞をFACSでソーティングするための条件を決定した。BzATPを15℃以下で反応させると、細胞は速やかにPSを暴露し、またBzATPを除去すると細胞が死なない状態でPSが細胞内膜へ戻る条件を見出した。この条件でPS暴露が起きない細胞をFACSでソーティングしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CRISPR/Cas9 GeCKOライブラリーで様々な遺伝子を欠損させたWR19L細胞群からBzATPでPS暴露が起きない細胞をFACSでソーティングしたが、ソーテイングが期待通りにおきない。原因としてBzATPに感受性がない細胞が混じっていること、PSが細胞外に暴露するのを検出するためのAnnexin Vの感度が悪いことが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
BzATPはATP依存性イオンチャネルであるP2X7のアゴニストとして知られており、P2X7が活性化すると細胞内へカルシウムイオンが流入することが明らかになっている。そこでBzATPが細胞に作用していることを保証するために、細胞内のカルシウム濃度を検知する試薬(例 Fluo4-AM)を用いて、BzATPで活性化した細胞の中からPSの細胞外の暴露しない細胞をソーティングする。またリン脂質スクランブル活性を調べるには細胞外のPS暴露を検出する以外にもホスファチジルコリンの細胞内膜への取り込みがある。これを利用してNBD-PCの取り込みを用いることを検討する。 上記でも上手くいかない場合は、BzATPによるPS暴露にP2X7が関わっているかどうかを、CRISPR-Cas9システムを用いて、P2X7遺伝子欠損細胞を作製して明らかにする。また、P2X7が関わっていた場合、P2X7が強く発現しているマスト細胞を使って活性化機序を調べる。
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