2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K15082
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村山 祐子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (50708592)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAポリメラーゼ(RNAP)は遺伝情報の転写を行う巨大なタンパク質複合体である。RNAPは細胞内の状況に応じて様々な転写因子や新生RNAと相互作用し,そのコンフォメーションを変化させることで様々な機能を切り替えている。転写終結は転写の最終段階で,転写領域の境界を決める役割に加えて不必要な転写を抑制する役割を担う。本研究では転写終結の構造基盤を解き明かすことを目的とし,転写終結因子Rhoを結合したRNAP複合体の構造を解明することを目指している。 前年度までに,RhoおよびATPアナログを結合したRNAP伸長複合体について分解能約7Åの予備的な構造を決定し,Rhoが閉じた状態の六量体としてRNAP伸長複合体に結合することを見出した。また,Rho結合部位のドメインを欠損した変異体RNAPを用いて構造解析および転写終結アッセイを行い,新生RNAの出口チャネルを形成するb-flap tipと呼ばれるモチーフが,Rhoの結合および転写終結促進機能に重要であることを示した。 本年度は試料調製方法を改良した結果,クライオ電顕構造の分解能を約7Åから約4Åに改善することに成功し,RNAP-Rhoの相互作用についてより詳細な構造情報を得た。また、前年度に別のグループによって報告された大腸菌Rho-RNAP複合体構造に基づいてRhoの変異体を作製し,転写終結実験を行った。その結果,大腸菌の複合体で見れらたRhoのN端ドメインを介しての結合は,本研究で用いた好熱菌Rhoの転写終結活性には必要ないことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス対策への対応により,実験の進捗が当初の計画よりやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたRho-RNAP複合体構造に基づいてRNAPおよびRhoの変異体を作製し、Rho依存転写終結に重要な残基あるいはモチーフを特定する。今回のクライオ電顕構造と機能解析の結果を論文にまとめて発表する。 また,Rho依存転写終結に関与する転写因子(NusA等)を加えてRho-RNAP-転写因子の複合体を再構成し,電子顕微鏡構造解析を行う。 研究の進捗状況に余裕があれば,クライオトモグラフィーによって細胞内におけるRho-RNAP複合体を観察する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス対策の影響により次年度使用額が生じた。次年度使用額は主に電子顕微鏡用グリッド等の消耗品購入費、論文の校正費、また必要が生じれば研究所外の電子顕微鏡利用費等に使用する計画である。
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