2017 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーによるミトコンドリアDNA分解の分子機構と生理的意義の解析
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17K15088
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山下 俊一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30529095)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / オートファジー / マイトファジー / ミトコンドリアDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアはATP産生をはじめとする多くの重要な役割を果たす細胞内小器官である。ミトコンドリア内膜の電子伝達系を介して最終的に酸素に電子が伝達される過程で生じるプロトン濃度勾配を利用してATPが産生される。しかし、ミトコンドリアは自身の電子伝達系から漏れた電子から発生する活性酸素種によって傷害を受けてしまう。このようなミトコンドリアはミトコンドリア選択的オートファジーであるマイトファジーによって分解されることで、ミトコンドリア恒常性が維持されていると考えられている。近年、申請者は、マイトファジーによって分解されるミトコンドリアは、必ずしも分裂して小さくなったものではなく、チューブ状の大きなミトコンドリアの一部分がちぎりとられるようにして分解されることを明らかにした。また、ちぎりとられたミトコンドリアに多くの場合、ミトコンドリアDNAが含まれていることも見出した。そこで、本研究ではマイトファジーによって分解されるミトコンドリアが傷害を受けたミトコンドリアDNAであるかどうかを検証しつつ、その分子機構を解明することを目的としている。これまでに、HeLa細胞を用いて、オートファジー関連遺伝子のノックアウト細胞を数種類作製し、マイトファジーの各段階でのミトコンドリアDNAとオートファジー関連因子との位置関係を解析した。また、マイトファジーレセプタータンパク質の重要性について検討し、必須な因子を同定した。さらにマイトファジーレセプタータンパク質とミトコンドリアDNAとの時空間的な関係性の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HeLa細胞において、多くのオートファジー関連遺伝子ノックアウト細胞を作製し、マイトファジーを段階的に停止させ、それぞれのステップでのミトコンドリアDNAの局在解析を行うことが可能となった。また、マイトファジーレセプタータンパク質遺伝子をノックアウトした細胞を作製し、各種マイトファジー条件での解析を行った結果、必須因子の同定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、HeLa細胞に行けるマイトファジー必須因子の同定に成功している。今後は、この必須因子の機能解析とともに、マイトファジー時のミトコンドリアDNAの選択性がこれらの因子の寄与によるものかどうかを詳細に解析していく。さらに、変異ミトコンドリアDNAがマイトファジーのターゲットになるかどうかについて解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
初年度は、まず基本的な細胞の作製と、これまでの確認を行ってきたため、多くの予算を次年度に使用とした。次年度では、これまでに同定したマイトファジー必須因子が、マイトファジー時に、どのようにしてミトコンドリアDNAを認識するのかを明らかにするために、siRNAスクリーニングおよびプロテオミクス解析に多くの予算を使用する。これらの解析で、新たに同定した因子についての抗体作製や、成果の論文発表や学会発表も行っていく。
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