2017 Fiscal Year Research-status Report
シグナルペプチド非依存的に小胞体へ輸送されるタンパク質の同定と機能解析
Project/Area Number |
17K15089
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
細見 昭 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (60525864)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シグナルペプチド / 酵母 / 分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的はシグナルペプチド非依存的な小胞体へのタンパク質輸送機構の解明である。真核生物において、分泌経路で輸送される可溶性タンパク質はそのN 末端にシグナルペプチドを有している。これまでシグナルペプチドは細胞質から小胞体への輸送に必須と考えられてきたが、研究代表者の出芽酵母遺伝子破壊株とシグナルペプチド削除型タンパク質を用いた研究により、シグナルペプチド非依存的な小胞体へのタンパク質輸送機構の存在が明らかになってきた。しかしながら、これまでの研究ではシグナルペプチドを削除した変異タンパク質を用いてきた。そこで、元々シグナルペプチドを有さないにも関わらず小胞体へ輸送されるタンパク質を発見することで、本輸送機構の詳細を明らかにすることを目的とした。平成29年度に行った研究から得られた成果を以下に示す。 IGOT(Nat. Biotechnol. 21, 667-672 (2003))法で、シグナルペプチドや膜貫通領域を持たないにも関わらずN 型糖鎖付加されている可能性のあるタンパク質を34 個発見していたので、クローニング及びウエスタンブロッティングにて、糖鎖付加の有無の確認を試みた。現在までに21個の遺伝子がクローニングできたので、ウエスタンブロッティングで調べた結果、少なくとも1個のタンパク質にN型糖鎖付加が見られた。この結果から、シグナルペプチド非依存的な小胞体へのタンパク質輸送は本来酵母に備わったものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画1年目の目標は「酵母における元々シグナルペプチドを持たない糖タンパク質の同定」である。候補遺伝子34個中発現実験を行えたのは21個に留まったが、そのうちの1個がN型糖鎖付加されていることが分かった。この結果から、研究計画1年目の目標を達成することができたと考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
まだクローニングできていない残り13個の遺伝子のクローニングを試み、他にもN型糖鎖付加され得るタンパク質の探索を行うと共に、2年目の計画として、哺乳類タンパク質(PAI-2、FGF-9、FGF-16)の酵母における発現と解析を試みる。
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