2017 Fiscal Year Research-status Report
モノADPリボシル化毒素に不可欠な2種類の特異性を理解する
Project/Area Number |
17K15095
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
吉田 徹 京都産業大学, 総合生命科学部, 研究助教 (30724546)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ADPリボシル化 / 基質特異性 / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
病原性細菌が産生する毒素である mono-ADPリボシル基転移酵素(mART)の基質は様々であるが、ADPリボシル基を付加する官能基もまた様々である。本研究では、mARTの2種類の特異性(基質特異性、付加する官能基特異性)の仕組みを理解することを目的としている。対象として、ScARPとpierisinを使用した。 まず、近年発見されたguanine特異的ADPリボシル化酵素ScARPについて、酵素単独構造の解明および、酵素-基質複合体構造の解明を目指した。ScARPは大腸菌で発現させ精製した。ScARP単体で結晶化を試みた結果、単結晶の取得に成功し、1.5 angstrom の分解能で構造決定することに成功した。次に、酵素-基質複合体の結晶化を試みた。基質として、guanineを持つ化合物の中で水によく溶け、またKm値が低いGDPを選択した。また、反応が進まないように、本来の基質であるNAD+ ではなくNADHを使用した。その結果、ScARP-GDP-NADHの3者複合体のX線結晶構造を1.6 angstrom の分解能で決定することに成功した。 次に、近年発見された二本鎖DNA特異的ADPリボシル化酵素pierisinについて、大量発現系を構築し、pierisinに特異的に結合するDNAの配列決定を目指した。pieirisinの大腸菌による発現は、その毒性のため、不活性mutantのみ成功した。精製した不活性mutantを用いてSELEXを行ったが、残念ながら特異的に結合するDNA配列を決定することは出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した2つの実験計画「ScARP単体の結晶構造の決定」「ScARP-基質複合体の結晶構造の決定」を達成することが出来た。その一方で「Pierisinに特異的に結合するDNA配列の決定」は達成することが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ScARPについては、基質認識および反応に重要なアミノ酸残基の変異体を作製し、その重要性を活性測定により確認する。pierisinについては引き続き、SELEX法による特異的に結合するDNA配列の決定を試みる。
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Causes of Carryover |
ScARPの結晶化が順調に進行したため、予定ほど多くの結晶化試薬を購入する必要がなくなった。次年度は、pierisinの活性測定に必要な蛍光物質修飾されたオリゴの購入や、ScARPの学会発表のための旅費に使用する。
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