2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K15108
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
山中 龍 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (90795436)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マグネシウムイオン / 細胞内情報伝達 / エネルギー代謝 / 細胞周期 / 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の所属する研究グループが開発した化合物型Mgイオンプローブを用いて、細胞内Mgイオン動態と細胞内シグナル伝達との関係解明を実施した。その結果、特定の刺激に応じて細胞内Mgイオン濃度は上昇し、それによってERK、CREB、mTORといった細胞内シグナル伝達経路が活性化されることを発見した。さらに細胞内Mgイオン濃度とこれらの細胞内シグナル分子の活性を定量的に解析することによって、MgイオンはERK、CREBシグナルに関しては制御因子、mTORシグナルに関してはセカンドメッセンジャーとして機能することによって細胞内情報伝達に寄与していることを明らかにした。これらの成果に関しては既に、国内外における学会発表に加え、英文ジャーナル(査読付き)にて論文として公表している。 本研究課題では、細胞内Mgイオンや細胞内シグナル分子、細胞周期進行に関わる因子の蛍光イメージングを行なうことによって、Mgイオンと細胞周期進行メカニズムの更なる解明を目指している。その際に必須となる全細胞周期にわたって細胞内Mgイオン変動を定量的に計測する手法の開発に成功した。細胞周期における細胞内Mgイオンの変動と細胞周期進行関連因子(細胞内シグナル伝達物質、細胞内エネルギー代謝物質など)との関係について定量的な解析を行ない、細胞内Mgイオンが細胞周期進行において影響を与える現象の同定にも成功した。また、細胞内Mgイオンが細胞分裂において決定的な役割を果たしていることを示唆する結果も得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた細胞周期の進行における細胞内マグネシウムイオン動態とその役割を解明することは順調に進行している。細胞内Mgイオン動態の細胞内シグナル伝達に対する影響を詳細に調べた内容を国内外における学会発表に加え、英文ジャーナル(査読付き)にて論文として公表することができた。前年度に成功していた全細胞周期にわたる細胞内Mgイオン動態の測定をさらに発展させ、細胞内Mgイオンと細胞周期の進行に関わる因子との関係の詳細な解析で新たな事実を発見する事にも成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内Mgイオンは多岐にわたる生理学的役割を有しており、細胞の増殖においても役割があることは古くから示唆されてきたが、具体的なメカニズムはほとんど解明されていなかった。本研究課題では、細胞内Mgイオンや細胞内シグナル分子、細胞周期進行に関わる因子の蛍光イメージングを行なうことによって、Mgイオンと細胞周期進行メカニズムの更なる解明を目指す。今後は、これまでに開発した解析手法を用いることによって、細胞内Mgイオン動態と細胞周期進行についての定量的な解析を行ない、Mgイオンが細胞周期の進行を制御するメカニズムを明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも安価に消耗品を購入できたため、予算残が生じた。繰越金は翌年度の消耗品購入予算に充てる。
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Research Products
(4 results)