2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of molecular mechanisms underlying environment-dependent regulation of ion permeation through mammalian potassium channels.
Project/Area Number |
17K15109
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
塚本 寿夫 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (90579814)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 蛍光標識 / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、これまでの事業期間に遂行できなかった、イオンチャネルTWIK1に部位特異的蛍光標識を導入して、このチャネルが外部環境の変化に応じて起こす構造変化を解析することに取り組んだ。TWIK1は、他のカリウムチャネルとは異なり、外部環境に応じてナトリウムイオンを透過しうる。前年度までにTWIK1の赤外分光解析を行い、カリウムチャネルのイオン選択性を生み出す選択フィルタ部位のカリウムイオンに対する親和性が低くなっていることを見出していた。一方、TWIK1の結晶構造からは、細胞外ドメインの中にある透過するイオンの「出入口」が、透過するイオンを制御しているのではないかと推測されていた。しかし細胞外ドメインが起こす構造変化の詳細はわかっていなかった。 以上の知見に基づき、本年度に、TWIK1の細胞外ドメインにおけるイオンの「出入口」を構成するアミノ酸残基(群)をシステイン残基に置換し、そのシステイン残基に蛍光標識Bimaneを特異的に結合させた。Bimane由来の蛍光は、近傍にトリプトファン残基が存在すると消光される。都合のよいことに、「出入口」部位付近にトリプトファン残基が内在していたため、蛍光標識したTWIK1に、このトリプトファン残基がある場合と、蛍光を消光しないフェニルアラニンに置換した場合において、カリウムあるいはナトリウムを多く含む条件で蛍光強度を測定し、Bimane標識部位とトリプトファン残基の位置関係が外部のイオン環境を変えるとどのように変化するのかを調べた。 その結果、「出入口」部位はカリウムが多い条件ではコンパクトな構造を取るが、ナトリウムが多い条件ではルーズな構造を取ることを示唆する結果を得た。すなわち、TWIK1では細胞外ドメインと選択フィルタ部位の両方のはたらきにより、特異なイオン選択性が生み出されていると考えられた。
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Research Products
(6 results)