2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K15112
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
萬年 太郎 立命館大学, 生命科学部, 助教 (50535763)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核内構造体 / ノンコーディングRNA / RNA結合タンパク質 / プロテオミクス / 細胞 / RNAポリメラーゼ / タンパク質修飾 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質情報を持たないノンコーディングRNAを骨格として形成される核内構造体(核内RNA顆粒)が重要な生理機構に関与していることが近年明らかになってきている。核内RNA顆粒はRNA-タンパク質相互作用を介して形成されることから、これらの生理機構を解明するためには骨格となるRNAのみではなく構成因子やその形成機構を明らかにすることが重要となってくる。 本年度は、核内RNA顆粒であるDBC1ボディの新規構成因子を同定するため、DBC1とのタンパク質間相互作用解析を行った。DBC1ボディを形成する2つの培養細胞を用いて、Flp-In systemを用いてFLAGタグを融合したDBC1タンパク質安定発現株を作製した。タンパク質の発現と細胞内局在を確認したのち、FLAGビーズを用いて免疫沈降後にSDS-PAGEで泳動し、銀染色で相互作用タンパク質を可視化した。その結果、融合タンパク質は細胞内でDBC1ボディを形成しており、銀染色により複数のDBC1相互作用タンパク質を検出できた。また、DBC1ボディがRNAを骨格として形成されていることから免疫沈降後にRNase処理をおこなった結果、いくつかの相互作用タンパク質の消失がみられた。さらに免疫沈降サンプルをLC-MS/MSによるショットガン解析をおこなった結果、DBC1タンパク質と相互作用する既知タンパク質のほかに新規タンパク質も同定した。新規タンパク質にはRNA結合タンパク質も含まれており、DBC1タンパク質がRNAのプロセッシングに関与していることが示唆された。この他にDBC1ボディの形成の有無による相互作用タンパク質の解析のため、RNAポリメラーゼ阻害剤を用いたDBC1ボディ形成阻害実験の至適化をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は「DBC1ボディの形成を制御する新規DBC1ボディ因子の探索」について解析をおこなった。DBC1ボディを形成する培養細胞において、DBC1の安定発現株を作製し、DBC1の既知の相互作用タンパク質だけではなく、新規の相互作用タンパク質を複数同定することができた。免疫沈降後のRNase処理解析おいて、DBC1ボディの候補因子を得ることができた。また、RNAポリメラーゼ阻害剤を利用したDBC1ボディの形成阻害系の至適化することができた。これらの成果からほぼ計画通りに進行したと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られたDBC1ボディ候補因子やRNAポリメラーゼ阻害剤によるDBC1ボディの形成阻害系について解析を進めるため以下の研究を計画している。①DBC1ボディ候補因子の細胞内局在を調べるためにプラスミドもしくは抗体を用いて解析を進める。またこれらの因子がDBC1ボディ形成にどのように関与しているかsiRNAや変異体を用いて解析をおこない、形成機構を明らかにする。②RNAポリメラーゼ阻害剤によるDBC1ボディの形成の有無によるDBC1相互作用タンパク質の変化を解析するため、免疫沈降サンプルを安定同位体標識しLC-MS/MSによる比較定量的解析をおこない、新規DBC1ボディ候補因子を同定する。 当初本年度の計画としていた「Venus蛍光タンパク質融合ヒト完全長cDNAクローンを用いた新規DBC1ボディ構成因子の探索」は研究者の大学の異動によりcDNAクローンや画像取得機器の使用が困難になったため、計画を変更した。異動先の所属研究室にはLC-MS/MS機器があり、迅速にタンパク質相互作用解析をおこなうことができる。今後はタンパク質相互作用解析に集中していくことでDBC1ボディの新規構成因子を探索していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究はおおむね予定通り進んだが、大学の異動などにより当初の研究計画の変更をおこなったため、次年度使用額が生じた。 本年度明らかにした新規DBC1ボディ候補因子や今後実施するRNAポリメラーゼ阻害剤による解析により同定した因子がどのようにDBC1ボディの構造構築に関与しているかを明らかにしていくためsiRNAや抗体を購入に使用する。これらの結果をDBC1ボディの生理機構の解明に結び付けていく予定である。
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Research Products
(6 results)