2018 Fiscal Year Research-status Report
Molecular imaging of PI3P in the plant type autophagosome
Project/Area Number |
17K15148
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
大田 修平 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 特別研究員 (20455926)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 分子イメージング / 微細藻類 / オートファゴソーム / 脂質分子 / フリーズフラクチャー / 免疫電顕 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞がストレスを受けると細胞内微細構造がダイナミックに変化する。自食(オートファジー)はその一つであり、酵母や動物細胞を使った研究が盛んに行われている。一方、植物細胞ではストレスを受けた際に見られる微細構造の変化に関する情報は十分ではない。本研究では、緑藻クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii)や生態毒性試験のモデル生物であるムレミカヅキモ(Raphidocelis subcapitata)を材料とし、自食にかかわるメッセンジャー物質であるホスファチジルイノシトール3リン酸(PI3P)の細胞内局在を明らかにする目的で研究を進めている。2017年度後半から2018年度初めにおいて、PI3Pを特異的に認識するphoxドメインタンパク質(p40phox)を精製し、PIPストリップアッセイによって、PI3P分子を特異的に認識することを確認した。さらに、p40phoxに付加したGSTタグを間接蛍光抗体法により検出し、蛍光顕微鏡法あるいはフローサイトメトリーにより可視化する方法を確立した。また、フリーズフラクチャー免疫電顕による金コロイドの可視化条件の検討をおこなった。さらに、人工小胞膜アッセイにより、p40phoxタンパク質がPI3Pを濃度依存的に検出できているのかを確かめた。本研究ではストレス付与条件としてラパマイシンのほか、銅や亜鉛などの重金属イオンによるストレスについても調べ、特定の重金属イオンがPI3P分子の蓄積を誘導することを見出した。今後は、2018年度に条件検討した金コロイド免疫電顕法をもとに、フリーズフラクチャー法により作製した試料におけるPI3P分子の局在を明らかにする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の最重要ステップであるp40phoxを用いた藻類細胞のPI3P分子を可視化するための間接蛍光抗体法のプロトコルを確立できた。加えて、様々なストレス付与条件を検討し、本研究で扱っている緑藻クラミドモナスやムレミカヅキモのPI3P分子の細胞内動態について、種間比較をおこなった。既知のゲノム情報と照らし合わせて、実験的に明らかになった結果がゲノム情報と矛盾なく説明できることがわかった。間接蛍光抗体法およびフローサイトメトリーによる解析結果は、2019年3月に日本藻類学会で報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度に確立した実験プロトコルをもとにフリーズフラクチャー免疫電顕をおこない、ストレスを付与した細胞でPI3P分布の動態を微細構造レベルで観察する予定である。フローサイトメトリーを利用することで、比較的容易にPI3P分子の動態を追うことができ、様々なストレス源による自食の誘導を網羅的かつ定量的に調べることが可能になった。今後は緑藻の複数種の比較により、オートファゴソーム形成がストレスの耐性にどのように影響を及ぼすのかを明らかにしたい。また、既知のゲノム情報を用いることで、本課題で得られた実験結果の整合性を確認するとともに、緑藻における自食の進化についても明らかにする予定である。
|
Causes of Carryover |
国内旅費執行については想定より少なかった。また、試薬類の予算執行についてはほぼ計画通りであったものの、プラスチック器などの消耗品については想定より少なく、差額が生じた。本年度は差額を含めて、電子顕微鏡関連の消耗品および国内学会で報告する旅費等に使用する予定である。
|