2017 Fiscal Year Research-status Report
Observation and analysis of muscle tissue by high-speed AFM
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17K15149
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
臼倉 英治 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (00643727)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 組織観察 / 徳安法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は骨格筋のサルコメアを高速スキャニング原子間力顕微鏡で観察する手法を確立した。まずは、動物から摘出した腸腰筋をグリセリン溶液に浸し細胞膜などを除外した後、小さく切り出した腸腰筋の組織断片をポリビニルピロリドンとスクロースを混合した溶液に浸して組織の固定を行う。固定した組織断片を液体窒素によって瞬間凍結させ、クライオマイクロミクロトームを用いて暑さ数百ナノメートルの組織切片を得る。この組織切片はポリビニルピロリドンとスクロースの混合液に閉じ込められている状態であるため、常温下で生理食塩水を用いて混合溶液を除く。この一連の手法により水溶液中の組織切片を得ることができ、高速スキャニング原子間力顕微鏡による観察を行うことができる。原子間力顕微鏡により得られた画像には、電子顕微鏡では見ることができなかったサルコメアのつなぎ目に相当するZディスクの立体的な構造やミオシンフィラメント間の架橋構造を確認することができた。 この手法の確立により、生体環境下でナノメーターオーダーの分解能で組織を観察することができるようになった。これまでの組織観察では電子顕微鏡を用いた手法が一般的ではあったが、真空環境での観察やサンプルへの金属蒸着が必須であることにより、どうしても生体環境下での構造を見ることができなかった。しかし、原子間力顕微鏡による観察が可能になるようなサンプル作製方法の確立により、本来の生体環境での組織観察が可能になったのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高速スキャニング原子力間顕微鏡による骨格筋のサルコメア観察までの一連の手法は確立することができた。これにより、組織切片の観察は十分行えることが確認できた。現在は画像解析の手法を模索している。観察と解析の一連の流れが確立できれば、後はサンプルを用意すればよいため、残り期間を考えるとおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、画像解析の手法を確立した後、平滑筋や心筋のサルコメアの観察も行い原子力間顕微鏡による生体環境下で骨格筋とどのような構造的違いが見られるかを明らかにしたい。また、最終的には筋繊維に原因をもつ疾病のサルコメアの観察も目指したい。
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Causes of Carryover |
購入を考えていたカンチレバーが平成29年度に購入できず、平成30年度での購入を考えたため。
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