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2018 Fiscal Year Research-status Report

ラマン散乱分光計測を援用した多細胞性シアノバクテリアの分化決定ダイナミクスの解析

Research Project

Project/Area Number 17K15151
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

石原 潤一  千葉大学, 真菌医学研究センター, 特任助教 (40732409)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsラマン散乱分光 / ラマンスペクトル / シアノバクテリア / ヘテロシスト / 光合成色素
Outline of Annual Research Achievements

研究代表者は、Anabaena sp. PCC 7120(以下、Anabaena)でほぼ10細胞おきに分化するヘテロシスト細胞が、近隣細胞との協調によってどのように運命決定されるか解析するため、顕微鏡下での長期培養観察系の構築を試みた。具体的に、Anabaenaの1フィラメントに含まれる各細胞の分裂や生長、分化を観察しながら、各細胞の光合成色素の含有量をラマン散乱分光計測によって解析する計測系の構築を目指した。
そこで、研究代表者は、マイクロ流体デバイス工学を援用し、Anabaenaを培養しながら、各細胞の分裂や分化をタイムラプス観察できる微小流体デバイスを開発した。顕微鏡下にこの流体デバイスを設置し、Anabaenaを流し込んだ後、光を当てつづけながら新鮮な培養液を還流させることで、72時間以上にわたって培養と観察を継続できた。このとき、各細胞の平均的な分裂時間や、ヘテロシスト間の平均細胞数は、既存の培養方法によって得られる結果と有意差がなかった。
次に、この流体デバイスでAnabaenaを培養しながら、各栄養細胞やヘテロシストにラマン散乱分光を照射し、1細胞ずつラマンスペクトルを得た。前年度の解析により、光合成色素に帰属されたラマンバンドの強度や波長は、流体デバイスを用いて計測しても変化しないことが確かめられた。さらに、ラマン散乱分光を照射した後、細胞の生理状態が変化せず、継続して分裂や分化させるための低負荷な計測条件を策定した。これらの一連の実験と解析により、複数の標的細胞のラマンスペクトルをタイムラプス計測するための準備が整った。
現在、1時間おきに栄養細胞やヘテロシストからラマンスペクトルを計測し、光合成色素に帰属されたラマンバンド強度が、フィラメント内の細胞の位置情報(ヘテロシストからの距離)に応じてどのように時間変化するか解析を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の年次計画通り、顕微鏡下でAnabaenaを長期培養・観察できる流体デバイスを開発できた。また、この実験系を用いることで、Anabaenaの各細胞の形態観察とラマンスペクトルの取得を同時並行で行えることも確かめた。この進展を踏まえ、標的フィラメントの全細胞から1時間おきにラマンスペクトルを計測し、各細胞の運命決定と光合成色素の変化を1細胞ずつ対応付ける解析に着手した。

Strategy for Future Research Activity

できるだけ多くの標的フィラメントを対象とし、そこに含まれる全細胞から一定時間ごとにラマンスペクトルを計測する。さらに、同時並行でフィラメントに含まれる全細胞を観察し、画像データを取得する。特に、新たなヘテロシストが分化したタイミングに注目し、そこから遡って近隣細胞の運命決定や大きさの変化を解析し、さらに光合成色素に帰属されたラマンバンド強度の変化も対応させることで、どのように周囲の細胞と協調して分化細胞が調節的に決定されるのか、光合成色素の増減から法則性を明らかにする。

Causes of Carryover

流体デバイスを開発する際、当初の予定では複数のデザインを検討し、培養や観察実験を繰り返し行うことで、最も適したデバイスを選定するはずだった。ところが、最初に着手したデザインを用いて培養や観察を行ったところ、既存の方法によって得られる表現型と近くなったことから、予定より早くデバイスの開発を終えることができた。そこで、デバイスを試作するために試算していた費用を、次年度に繰り越すことで、Anabaenaのタイムラプス実験を行うための培地や材料費に充当する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Mathematical Analysis of Copper Efflux system in Escherichia coli2019

    • Author(s)
      Jun-ichi Ishihara, Tomohiro Mekubo, Chikako Kusaka, Suguru Kondou, Naotake Ogasawara, Taku Oshima, Hiroki Takahashi
    • Organizer
      日本生物物理学会第56回年会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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