2018 Fiscal Year Research-status Report
生殖細胞で発現するPIWI-piRNAによるオス性分化制御機構の解明
Project/Area Number |
17K15152
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
山本 耕裕 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20613558)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | PIWI-piRNA / 性分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
メダカ性分化におけるPIWI-piRNAシステムの役割を明らかにするため、前年度に作出したPIWIノックアウトメダカを用いて組織学的解析を行った。メダカではPiwil遺伝子は2つ存在し、どちらのノックアウト個体も不妊となることを前年度に明らかにしている。メダカではアンドロゲン依存的にヒレにおいて2次性徴が現れるが、Piwil1ノックアウトのXY個体ではこれらの2次性徴を示さないこと、アンドロゲンレベルがコントロールに比べ低いことを明らかにした。Piwil2ノックアウトメダカの雌個体では卵巣特徴的な構造である卵巣腔が確認されたが、Piwil1ノックアウトでは明瞭な卵巣腔は確認されなかった。さらに、Piwil1ノックアウト雌個体ではエストロゲンレベルがコントロールに比べ有意に低いことを明らかにした。Piwil1ノックアウト個体における2次性徴をより解析するため、in situ hybridizationにより性分化関連遺伝子の発現状態を解析したところ、Piwil1ノックアウト個体では両性ともに、p450-11βやaromataseの発現が確認されないことを明らかにした。これらの結果から、Piwil1ノックアウト個体では生殖腺の性分化に異常があるため、性ホルモンレベルの減少から2次性徴の異常が起こると示唆された。Piwil1の遺伝子発現は生殖細胞特異的であることをin situ hybridizationと免疫染色から明らかにしているため、これらの減少は生殖細胞でのPiwil1の機能欠失によるものと考えられ、PIWI-piRNAによる性分化への関わりが予想される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PIWIノックアウトメダカを用いて組織学的解析から、Piwil1ノックアウト個体では生殖細胞でのPiwi機能欠失依存的に生殖腺の性分化に異常が起こるため、性ホルモンレベルの減少および2次性徴の欠損が導かれることを示した。本研究は高等脊椎動物において、生殖細胞におけるPIWI-piRNAが性分化へ関わることを示す新たな知見になると期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
Piwil1ノックアウト個体において性分化に関わるpiRNAの同定を行うため、ノックアウトメダカにおける網羅的small RNA解析を行う予定である。そのため、メダカPiwil1を特異的に認識する抗体の作製している。しかしながら、抗体作製におけるタンパク誘導に問題があり現在のところ抗体作製に遅延が生じている。抗体部位の変更を行い、再度抗体作製を行う予定であり、これら抗体を用い特定した分化段階の生殖細胞においてCLIP-seqを行うことにより、PIWIl1に結合するpiRNAを分離/同定を行う。野生型メダカとPiwiノックアウトメダカを比較することで、性分化に関わるpiRNAならびに標的遺伝子の単離を目指す。
|
Causes of Carryover |
所属する研究室に既存の研究機器および消耗品を使用することができた。また、予算申請していた機器の代替となる研究機器を安価に購入することが出来たため、予定との差が生じた。 次年度は再度抗体作製、次世代シークエンサーの使用を考えているため、今年度の予算を次年度に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)