2017 Fiscal Year Research-status Report
遊泳微細藻の重力・流れ・光応答の解明に向けた数理と実験の循環的アプローチ
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17K15154
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鹿毛 あずさ 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (10748809)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重力走性 / 低レイノルズ数 / 遊泳 / 原生生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は遊泳微細藻クラミドモナスの重力応答を中心に、流れ応答・光応答との相互作用の解明を目指す。本年度は重力応答、特に負の重力走性の実験を中心に研究を行った。 まず、重力方向の遊泳を観察できる水平顕微鏡システムを構築した。実験環境の構築に予想以上に手間取ったものの、予備実験により観察に最適と思われる条件を特定し、解析可能な精度の画像データを得ることができた。現在、当初計画になかったものも含め、種々の運動変異体のデータを解析中である。従来、重力走性の単純な指標として短いタイムスケールでの遊泳角度データを用いていたが、株によって遊泳軌跡の傾向が異なるため、比較に用いる統計量の再検討を行っている。 当初計画からの追加点として、真核生物鞭毛のモデル生物であり、最近では物理学者にも用いられるようになったChlamydomonas reinhardtiiに加え、古くから流体力学分野で根強く用いられているChloromonas typhlos(Chlamydomonas nivalis)の重力走性データを取得した。これは従来の「クラミドモナス」の重力・流れ応答の理論のもとになった観察がC. reinhardtiiではなくC. typhlos(C. nivalis)で多く行われており、それを改めて定量的に検証するためである。C. typhlosの最適な培養・観察条件はC. reinhardtiiと異なり、遊泳をできるだけ厳密に比較するための条件検討を行った。その条件はある程度割り出すことができたと考えている。今後さらに比較を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の通り、実験環境の構築に予想以上に手間取り、全体の計画に遅れが生じてしまった。平成30年4月に研究代表者が異動したため実験環境をさらに再構築する必要があるが、一度組んだシステムを組み直す作業であり、異動先で場所等は確保してあるため、今回は特に問題はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初計画に沿って進めるが、鞭毛運動とのつながりをより詳細に理解するために、当初計画になかった運動変異株も用いて実験を行う。現在、平成30年4月からの異動先で水平顕微鏡システムを再構築・調整している。流れ応答の解析のため流路の作成を行う必要があり、異動先の微細加工技術も活かして準備中である。
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Causes of Carryover |
年度当初の想定から参加学会を変更したため、学会参加費等が当初請求額より少なくなる結果となった。次年度の論文投稿費等として活用したい。
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