2018 Fiscal Year Research-status Report
遊泳微細藻の重力・流れ・光応答の解明に向けた数理と実験の循環的アプローチ
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17K15154
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
鹿毛 あずさ 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10748809)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重力走性 / 低レイノルズ数 / マイクロスイマー / 原生生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度に続き、負の重力走性メカニズムについて検討した。また走流性行動を分析するため、マイクロ流体デバイスによるプラットフォーム構築を行った。 以前、クラミドモナスの負の重力走性の力学的(受動的)メカニズムを実験・計算の両面から検証し、動きを止めたクラミドモナスの上向き回転において、細胞の形態非対称性が密度非対称性よりも強くはたらくことを示していた。この力学的メカニズムに加えて、生理的メカニズムの寄与について検討を行った。実験で得られた鞭毛波形から力学的メカニズムによる上向き回転の速度を計算し、実際の遊泳と比較した。垂直遊泳軌跡のうち、下向きから上向きに方向転換を行ったものを分析すると、多くの方向転換は鞭毛波形が変わらないと仮定した場合の計算結果よりも急激に起こっていた。この結果より、(1) クラミドモナスの負の重力走性の基本メカニズムは細胞の形態非対称性であること、そして (2) 鞭毛の波形転換もしくは2本の鞭毛間の同期特性の変化による急激な方向転換が負の重力走性を強めるはたらきをすること、が示唆された。以上について論文投稿中である。今後は遊泳特性の異なるクラミドモナス各種変異株の重力走性および走光性行動について、鞭毛運動による力発生および方向転換の観点から統一的な説明を与えたい。 走流性について、基礎的な解析を行えるマイクロ流体デバイスを開発した。クラミドモナスが正の走流性を示すことが示唆された。今後さらに検証を重ねる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算との比較による負の重力走性メカニズムの推定を行い、妥当なモデルの端緒がつかめた。 走流性についても実験系を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
遊泳特性の異なる各変異株の振る舞いについて、統一的な説明を目指す。
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Causes of Carryover |
当初想定より旅費が少なくなった。繰越分は次年度の旅費・物品費として活用予定である。
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