2019 Fiscal Year Research-status Report
成長段階に応じて異なる発火活動を示すペプチドニューロンの生理機能と放出制御の研究
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17K15157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬谷 千恵 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60779346)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | GnRH / 行動解析 / ペプチドニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は個体の生理状態に応じた終神経生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン3(TN-GnRH3)ニューロンの発火活動と付随して放出される神経ペプチド・神経伝達物質の生理学的役割の解明を目的とした研究である。生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンは、脊椎動物の生殖機能・行動に重要な役割を果たすペプチドニューロンである。細胞体が終神経(TN)に存在するTN-GnRH3 ニューロンは真骨魚類の脳において、脳下垂体を除く脳全体に神経線維を投射し、主に感覚神経系への神経修飾により行動を調節すると考えられているペプチドニューロンである。しかしながら、個体の生理状態が当該ニューロンの発火制御に与える影響や付随する神経伝達機構の実体については不明な点が多い。今年度は各遺伝子改変系統の行動を調べるとともに、定常状態における神経活動を電気生理学的に解析した。その結果、行動の調節に関与すると考えられる物質の同定に至った。また、定常状態における神経活動は、神経ペプチドノックアウト系統と野生型ともに規則的な自発発火活動がみられ、有意な差がみられなかった。したがって、成魚における神経ペプチドを介した神経修飾は何らかの特定の状態に生じることが考えられる。そして、本研究の研究対象であるTN-GnRH3ニューロンを含むGnRH神経系の多様な機能に関する総説を、Zoological Letters誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変系統の神経活動記録の解析が進んだとともに、成体期の機能について解析が進み、当該ニューロンを介した脳内メカニズムが明らかとなりつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変系統においてみられた表現型に関してより精査に調べ、行動を調節する脳内メカニズムの全貌に迫る。
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Causes of Carryover |
本研究課題について、論文を執筆中であるが、行動解析の追試と生殖腺の形態観察をする必要があるため、次年度使用額が生じた。
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